GSAMユーザーマニュアル

第10章 ESL for Ansys Mechanical/LS-Dyna

はじめに

GSAM/GTAMのESLオブジェクト()は、非線形FEM応答に対処するために使用します。現在のGSAM/GTAMの実装では、Ansys Mechanicalソルバー、LS-Dynaソルバーが出力する応答を用いた最適設計を実行できます。
これらソルバーからの応答を最適化する方法は、ESLの設定を参照ください。

ESL 法

Equivalent Static Load (ESL)は、非線形FEAで得られる変位場を線形FEA解析で再現する静荷重の集合です。ESL法では、はじめに非線形解析が実行され、その変形結果と同等な変形をもたらす静荷重群を求めます。GENESISは、この静荷重群をロードケースとする近似最適化で設計を進行させます。近似最適化の更新が限界に到達したら、そのときの設計値で再び非線形FEM解析が行われ、目的と制約が収束条件を満たすまで繰り返されます。
ESL法を使った最適法は、非線形FEAに基づく最適化を効率的に実行する最適法として論文等で広くで提案されています。ここで関連する理論を概説します。非定常非線形解析の運動方程式は、次式で示されます。

\(M{\ddot{z_N}(t)}+K_N(b,z_N(t))z_N(t)=f(t)\)

\(z_N(t)\)は時間に関する変形場です。時間領域は有限個の段階に分割され、各段階でのESLsが、線形剛性行列\(K_L\)と非線形変位の積として計算されます。段階taでの関係は次式で示されます。

\(f_{ESL}(t_a)=K_Lz_N(t_a)\)

ESL (静荷重群)はマルチロードケースとして管理され、感度解析、近似応答の生成と最適解の探索が行われます。近似最適化の更新が限界に到達したら、元の解析モデルに変更が加えら非線形解析が実行されるというプロセスが収束判定を満たすまで繰り返されます。

ESLの実行

ESLのアイデアとアルゴリズムについては、前節で説明しました。この節では、Ansys解析或いはLS-DYNA解析からの応答を用いた最適化の方法について説明します。

Ansys Mechanical向けESLの実装

ESL for Ansysは、ESL法の実装の一つで、Ansys Mechanical解析からの応答を用いた最適化の実行を可能にします。GENESISは、近似最適化プロセスを実行するためのパッケージとして使用されます。
ユーザーは、ESL最適化パラメータとESL法で最適化する解析システムを定義する必要があります。詳細は、ESL最適化パラメータESL for ANSYSの設定で説明します。
ESL for Ansys Mechanicalのフローチャートを下図に示します。

ESL for Ansys Mechanicalは、ユーザーが定義したESLパラメータと解析設定の値からGENESIS入力ファイルを生成します。ANSYS 入力ファイルも生成し、初期設計値が与えられます。
GENESIS 入力ファイルは、初回の GENESIS 最適化プロセスの実行に使用されます。ESL for Ansys Mechanicalを用いると、GENESISはANSYS *.rst ファイルから変位を読み取り、GENESIS解析のロードケースとして扱うことができます。GENESIS は読み取った変位をESLsに変換し、構造を解析します。
GENESIS用に定義された設計データに基づいてGENESISの最適化プロセスが実行されます。初回のGENESIS最適化プロセスの設計変更が限界に達すると、その結果を反映するためにANSYSモデルが変更されます。そして、新たなAnsys Mechanicalの変位を得るためにANSYS解析が実行されます。ANSYS *.rstファイルから得られた新たな変位は、2回目のGENESIS最適化プロセスで使用されます。
なお2回目以降のGENESIS最適化プロセスは、GENESISのRESTARTオプションで起動されます。GENESISの設計 サイクルは引き継がれます。以上のような処理が、収束基準 (ESL Optimization Parameters:ESL最適化パラメータで説明)が満たされるまで繰り返されます。

ESL for LS-Dynaの実行フロー

ESL for LS-Dynaは、LS-Dyna解析からの応答を用いた最適化の実行を可能にするESL法の実装の一つです。構造最適化の実行には、GENESISが使用されます。ユーザーは、ESLパラメータとESL最適を適用する解析システムを定義する必要があります。設定の詳細は、ESL最適化パラメータESL for LS-DYNAの設定で説明します。
ESL for LS-Dynaのフローチャートを下図に示します。

ESL for LS-Dynaは、ユーザーが定義したESLパラメータと解析設定の値からGENESIS入力ファイルを生成します。同様にLS-DYNA入力ファイルも生成され、初期の設計値が与えられます。
GENESIS入力ファイルは、最初のGENESIS最適化プロセスの実行に使用されます。ESL for LS-Dynaを用いると、GENESISはLS-Dynaのnodoutまたはd3plotファイルから変位を読み取ることができます。変位の各組は、GENESIS内ではロードケースとして扱われます。GENESISは変位をESLsに変換し、構造を解析します。
GENESIS用に定義された設計データに基づいてGENESISの最適化プロセスが実行されます。1回のGENESIS最適化プロセスが完了すると、そのときの結果でLS-Dynaモデルが更新されます。そして、新たなLS-Dyna変位を得るためにLS-DYNA解析が実行されます。nodoutまたはd3plotファイルから得られた新たな変位は、後続のGENESIS最適化プロセスで使用されます。
なお後続のGENESIS最適化プロセスは、GENESISのRESTARTオプションで起動されます。GENESISの設計サイクルは引き継がれます。以上のような処理が、収束基準が満たされるまで繰り返されます。

ESLの設定

ESL for Ansysの設定

ESL for Ansys Mechanicalの設定ステップは;
・はじめに解析設定の詳細のUse External Solverオプションで“For Selected Structural Systemsを選択します
ESL Analysis Setup (ANSYS)で、ESL法を適用する解析システムを選択します
・必要に応じ、ESL最適化パラメータその他ESL設定で、ESLのパラメータおよび設定を調整します。
詳細は、以下の各節で説明します。

ESL for LS-Dynaの設定

ESL for LS-Dynaの設定ステップは;
・はじめに解析設定の詳細のUse External Solverオプションで“For Selected Structural Systemsを選択します
ESL Analysis Setup (LS-DYNA)で、ESL法を適用する解析システムを選択します
・必要に応じ、ESL最適化パラメータその他ESL設定で、ESLのパラメータおよび設定を調整できます。
詳細は、以下の各節で説明します。

ESL最適化パラメータ

ユーザーは“解析設定の詳細”内で全てのESL最適化パラメータにアクセスできます。

Design Control:設計コントロール

Use External Solver:外部ソルバーの使用
Use External Solverには、2つのオプションがあります。
For Selected Structural Systems
ESL for Ansysを使用する場合は、このオプションを選択します。適用ロードケースについてはESL Analysis Setup (Ansys)オブジェクトまたはESL Analysis Setup (LS-DYNA)オブジェクトで設定する必要があります。
注)ESL for Ansysは、静解析と過渡解析のロードケースに適用できます。他のロードケース(モーダル、ハーモニック、ランダム振動、座屈)には適用できません。ただし、ESL for Ansysを適用した解析システムと非適用の解析システムで構成される連成最適化問題は可能です。
No(デフォルト)
ESL for Ansysを使用しません(標準のGENESIS最適化を行います)。

Max External Cycles:外部サイクルの最大数
このパラメータは、External Cyclesの最大数を規定します。一つのExternal Cyclesには、GENESIS最適化プロセスとANSYS解析プロセスが含まれます。External Cyclesのデフォルトは5です。

Initial Optimization Cycles:初回のGENESIS最適化プロセスの最大数
このパラメータは、初回のGENESISプロセスにおける最適化サイクルの最大数を規定します。デフォルト値は5です。

Restart Optimization Cycles:2回目以降のGENESIS最適化プロセスの最大数
このパラメータは、2回目以降のGENESISプロセスにおける最適化サイクルの最大数を規定します。デフォルト値は5です。

Design Move Limits: 設計ムーブリミット

Initial Fractional Topology Move Limit (DELT)
初回のGENESISプロセス間の要素トポロジー設計変数Xに許容する微小ムーブリミット。デフォルト値は1E-6。

Initial Min. Topology Move Limit (DTMIN)
初回のGENESISプロセス間のトポロジー設計変数TMINに許容するムーブリミットの最小値。デフォルト値は0.1。

Fractional Topology Move Limit Multiplier
2回目以降のGENESISプロセス間のDELTに対する乗数。デフォルトは1.0。

Min. Topology Move Limit Multiplier
2回目以降のGENESISプロセス間のDTMINに対する乗数。デフォルトは1.0。

Move Limits for Topography, Freeform, Sizing and Topometry Design
トポグラフィ、フリーフォーム、寸法およびトポメトリ最適のムーブリミット

Initial Fractional Variable Move Limit
初回のGENESISプロセス間のFractional Variable Move Limit (DELX)。デフォルトは0.2。

Initial Min. Variable Move Limit:初期の最小変数移動制限
初回のGENESISプロセス間のMin. Variable Move Limit (DXMIN)。デフォルトは0.05。

Fractional Variable Move Limit Multiplier
2回目以降のGENESISプロセス間のDELXに対する乗数。デフォルトは0.9。

Min. Variable Move Limit Multiplier
2回目以降のGENESISプロセス間のDXMINに対する乗数。デフォルトは0.9。

Design Convergence:設計の収束基準

GENESIS近似最適プロセスの収束基準は、設計の収束基準を参照ください。

Global Design Convergence:グローバル設計収束基準
ESL最適化の収束を確認するのはグローバル設計収束基準です。

Hard Relative
連続な2つのANSYS解析における目的関数の相対変化。デフォルトは0.01。

Hard Max. Violation
ANASYS解析後の制約境界の違反度。デフォルトは0.05。

ESL Analysis Setup (Ansys)

ユーザーは、ESL Analysis Setup (Ansys)の詳細で、ESL for Ansysを適用する解析システムを指定する必要があります。時刻歴応答解析の場合は、時間間隔の入力が必要です。
設計領域が非線形材料の場合は、非線形材料特性に対応するパワールールのパラメータ(rv1)を設定します。

Candidate Analysis Load Steps and Substeps

Candidate Analysis Load Steps and Substepsで、解析システムへのESLの適用をコントロールできます。

静解析の荷重ステップ表
時刻歴応答解析の荷重ステップ表

Analysis System:解析システム
ESL for Ansysを適用できる解析システムが掲示されます。この欄は、編集はできません。

Load Step:荷重ステップ
荷重ステップが掲示されます。この欄は、編集はできません。

Time Freq:時間間隔
静的解析の場合、Load Step欄の値と同じ値が表示されます。
時刻歴応答解析の場合、最終時間がデフォルトで掲示されます。途中の時間もESL設計するには、経過時間をカンマ(,)区切りで入力してください。各時間は、GENESIS近似最適の一つのロードケースに変換されます。

Design with ESL:ESLの適用
オプションは次の2種です。
Yes:ESLを適用する
No:ESLを適用しない

Power Rule for Nonlinear Material Properties

Tabula Dataのフィールドをクリックすると、Power Rule for Nonlinear Material Propertiesテーブルが開きます。同テーブルで、トポロジー設計領域に関わる非線形材料に対するパワールールのRV1パラメータを規定できます。

Material ID:材料ID
トポロジー設計領域に与えられている材料のIDが掲示されます。この欄は、編集はできません。

Material Name:材料名
トポロジー設計領域に与えられている材料名称が掲示されます。この欄は、編集はできません。

Material Nonlinearity:材料非線形
材料に与えられている弾塑性モデルが掲示されます。この欄は、編集できません。

Yield Strength:降伏強さ
バイリニア(2直線)型材料に連動する降伏強さ用のRV1。デフォルト値は3。

Tangent Modulus: 接線係数
バイリニア(2直線)型材料に連動する接線係数用のRV1。デフォルト値は3。

Stresses
マルチリニア(多直線)型材料に連動する応力用のRV1。デフォルト値は3。

Stress/Strain Matching:応力/ひずみ値のマッチング

GENESISのESLロードケースは、Ansysの非線形解析の変位、剛性と等しい値を算出できます。応力、ひずみ値についてはESLMATCHを使用することで、Ansysの非線形解析の応力、ひずみと等しい値を持つことができます。ESLMATCHには、次の4オプションがあります。

No:マッチングしない
応力またはひずみは、GENESISのESLロードケースが算出する値です

Match ANSYS Solid Element Stress:ソリッド要素応力をマッチングする
ESLMATCHが用いられ、GENESISは、ANSYSソリッド要素応力結果に一致する応力値を持ちます。

Match ANSYS Solid Grid Stress:ソリッド節点応力をマッチングする
ESLMATCHが用いられ、GENESISは、ANSYSソリッド節点応力の結果に一致する応力値を持ちます。

Match ANSYS Solid Element Plastic Strain:ソリッド要素塑性ひずみをマッチングする
ESLMATCHが用いられ、GENSISは、ANSYSソリッド要素塑性ひずみ結果に一致するひずみ値を持ちます。

※現状、一つのESLロードケースで一致させることのできる結果は一種類です。

ESL Analysis Setup (LS-Dyna)

ユーザーは、ESL Analysis Setup (LS-DYNA)の詳細で、ESL for LS-Dynaを適用するロードケースを指定する必要があります。

Candidate Analysis Load Steps and Substeps

Candidate Analysis Load Steps and Substepsで、解析システムへのESLの適用をコントロールできます。

Analysis System:解析システム
この欄は解析システムの名前を掲示します。この欄は編集できません。

Load Step:荷重ステップ
この欄は解析システムの荷重ステップを掲示します。この欄は編集できません。

Time Freq:時間間隔
この欄は編集できます。ESL法で設計したい時間刻みをこのフィールドに入力します。デフォルトでは、LS-DYNA荷重ステップの最後の時間がリストされます。途中の時間も設計したい場合は、時間を、カンマ「,」で区切って入力してください。各時間がGENESISのロードケースに変換されます。

Design with ESL:ESLの適用
解析システムにESLを適用する場合はYesを選択します。

Execute LS-DYNA:LS-DYNAの実行

LS-DYNAを実行するためのスクリプトファイルを指定します。 このスクリプト ファイルは、LS-DYNA 入力キー ファイルである引数を1つだけ取ります。

スクリプト ファイルの定義。
次の 2つのオプションがあります。
Generated Automatically:自動生成
スクリプトはプログラムによって自動的に生成されます。

User Defined:ユーザー定義
ユーザーは、必要に応じてスクリプト ファイルを定義できます。

ESL Reader:ESLリーダー

ESLリーダーは、LS-DYNAのnodoutまたはd3plotファイルから変位を読み取るために使用されます。
リーダー ファイルの定義
デフォルトでは、インストールのESL リーダーが使用されます。 ユーザーは、User Definedオプションで別のリーダーを指定することもできます。

ESLリーダーの時間トレランス
これは、LS-DYNAのnodeoutまたはd3plotファイルで時間ステップの結果を検索する際の許容範囲を指定するものです。 デフォルトは、2e-6です。

ESL リーダーのデバッグ レベル
これは、ESL リーダーのデバッグ印字する・しないを切り替えます。 デフォルトは、0です。

その他ESL設定

ESL最適化パラメータの他に、 “解析設定”の詳細>ESL Settingsで、その他ESL設定にアクセスできます。

Run GENESIS First to Get Updated Grid Location
利用できるオプションは、次の2種です。
Yes
はじめにGENESISがチェックモードで実行され節点位置を更新します。メッシュスムージングのオプションがONの場合、スムージング後の節点位置から計算を開始します。
No(デフォルト)
GENESISチェックモードを実行しない

Read ANSYS Result
利用できるオプションは、次の2種です。
For Solution with No Error(デフォルト)
解析が収束する場合、ESL最適化は解析結果をリードします。非線形解にエラーがある場合、ESL最適化プロセスは停止します。
For Any Solution
一般に低密度要素は非線形解のプロセスに失敗を生じさせる可能性があります。しかしながらそれら要素は、わずかな要素であり、構造の非線形解の全体的挙動に影響しないでしょう。そうであれば本オプションを選択し、最適化を進行させることができます。

Replace MPC with Springs for Deformable Joints
ESL法を使用する場合、変形ジョイントのMPC(多点拘束の形成)は、接合面上の一定の節点変位に元の解析よりもと大きな変位を生じさせます。そこで、変形ジョイントをモデル化するために剛体バネを使用します。
Yes(デフォルト)
No

Spring Stiffness
ESL解析における変形ジョイントをモデル化するのに使用するバネの剛性を規定するパラメータです。デフォルトは1.0E7。

Add Soft Spring
For Under Constraintオプション(デフォルト)は、拘束不足のジオメトリに、デフォルトで低剛性の弱いバネを追加します。弱いばねは、ESL解析の拘束不足のボディの剛体移動を防ぐために使用されます。ESL 解析では、次の理由で、ジオメトリが拘束不足になる可能性があります。
• 接触が ESL 解析内で無効
• インポートされた外部SPCがESL解析内で無効です
上記ケースに対して、プログラムは拘束不足のボディを見つけて、弱いバネを自動的に付加します。
For All Geometryオプションは、すべてのジオメトリに弱いバネを追加します。このオプションは、プログラムが検出しない剛体移動を防ぐのに役立ちます。例えばモデル定義のAPDLコマンドがサポートされていない場合、ユーザーは“For All Geometry”を選択すべきです。

Soft Springs Stiffness
弱いバネの剛性です。デフォルトは1.0E-3。

Enforce Rotation at Pilot Node
デフォルトはNo。パイロット節点のANSYS結果からの回転自由度値を施行しません。

Number of Density Levels
トポロジー結果をAnsys解析モデルで解釈するための密度レベル(デフォルト値:100)を指定できます。要素密度の範囲(0.0-1.0)がユーザー指定のレベル数で分割されます。
GENESISの各要素の密度値が、各密度レベルに納められます。パワールールに示す式が、それぞれの密度レベルに対するヤング率を計算します。解釈用のANNSYSモデルは、この新たな材料特性で解析されます。

Density Scale Factor
このパラメータは、ESLトポロジー最適化中に取ることのできる材料特性の最小値を決定する倍率を指定します。この倍率は、パワールールに示す式のRV2です。デフォルト値は1.0E-6です。使用値を大きくすることで、ANSYSの非線形解析の収束を助ける可能性があります。

Save Intermediate Analysis Results
ANSYS Mechanicalの場合
デフォルト(No)では、最適化実行時に生成されるANSYSファイルは、各ANSYS解析システムのソルバーファイルディレクトリ下のESL_で始まるフォルダに保存されます。ANSYSファイルは、最適化実行の毎に上書きされます。Yesを選択した場合、最適化実行の都度Iter#(#は繰返し番号)という名のフォルダが生成され、Iter毎にANSYSファイルが別名保存されます。
LS-DYNAの場合
デフォルト(No)では、最適化実行時に生成されるLS-DYNAファイルは、各 LS-DYNA 解析システムのソルバー ファイルディレクトリ下のシステムセル名と同じ名前のフォルダに保存されます。LSDYNA ファイルは最適化の実行ごとに上書きされます。Yesを選択した場合、最適化の実行ごとに eslsave# (# は反復回数) というフォルダが作成され、対応する LS-DYNA ファイルがこのフォルダに保存されます。

AnsysのESL最適化で生成されるファイル

AnsysにESL最適化を使用すると、次の2つのファイル群が生成されます。

ANSYSファイル
ESL最適化の実行の都度、ANSYS入力ファイル(ESL_xx_file.dat)、結果ファイル(ESL_xx_file.rst)とその他出力ファイルが生成されます。ここでxxはANSYSシステムに与えられたセル名です。デフォルトでは、ANSYSファイルは、GENESISソルバーファイルとディレクトリに保存されます。ESL最適化ループの都度、ANSYSファイルは上書きされます。
ユーザーが“Save Intermediate ANSYS Results”でYesを選択した場合、ESL最適化ループの都度新しいファイル名(繰返し番号を含む)でANSYSファイルが別名保存されます。

GENESISファイル
ESL最適化実行の都度、GENESIS入力ファイル(genesis.dat)、出力ファイル(genesis.out)とその他出力ファイルが生成されます。GENESISファイルは、GENESISシステムのソルバーファイルディレクトリに保存されます。

ESL最適化のANSYS解析結果表示

ESL最適化後、ユーザーは最適化後のANSYS解析結果をポスト処理できます。
最終の最適化サイクルの結果をインポートする場合、次のようにします。
標準のANSYS機能を使用する場合
ANSYS Mechanicalのツールバーで「結果>ツール>結果ファイルの読み込み」を選択し、対応するAnsys解析システムのGENESISソルバーファイルディレクトリ内の結果ファイルをインポートします。
Import ESL ANSYS Result back to ANSYS Systemsを使用する場合
ツリーのESL Analysis Setupオブジェクトを右クリックし“Import ESL ANSYS Result back to ANSYS Systems“を選択すると各解析システムのANSYS結果がインポートされます。

制限

ESL for ANSYSの制限を記します。

1.非線形材料の場合、現バージョンは、バイリニア等方硬化、マルチリニア等方硬化、バイリニア移動硬化、マルチリニア移動硬化を使用できます。

2.ESLsの計算は、ANSYS解析から得られる応答に基づいています。その方法は、等価応答が線形体系に存在するとき作動します。等価線形化応答が利用できないときは、同じ効果を得るために一つまたはそれ以上の線形応答の組み合わせを用いて非線形応答を記述します。

3.GENESISのESLロードケースの応力は、非線形材料や大変形を伴うとき、ANSYSが計算する応力と異なる可能性があります。

4.現在のESL for ANSYSは、接触圧力をサポートしていません

5.ESLトポロジー最適化では、Minimum Member Sizeを使用し、ジオメトリベースの最適化行ってください。
トポロジー最適化がジオメトリベースの場合、更新されるANSYSモデルに使用するヤング率(E)はGENESISが使用した値に同じです。つまりANSYSの解析結果はGENESISと合致します。
一方Minimum Member Sizeを使用しないエレメントベースのトポロジー最適化の場合、GENEISが使用したヤング率(E)は、更新されるANSYSモデルに使用するヤング率(E)と異なります。GENEISは内部でanti-checkerboard制御を実行するため、これが異なるヤング率を生じさせます。

TOP