設計領域の定義
Topology Regionsオブジェクト()は、トポロジー設計領域(TPROP or TPROPC)を定義するために使用します。
同オブジェクトのFablication Constraintsカテゴリーで、トポロジー製造制約を課すことができます。
Design Region Type:設計領域タイプ
設計領域タイプには、Independently DesignedとClone Other Regionがあります
Independently Designed (TPROP):独立設計領域
選択された領域は、それぞれが独立した設計領域として定義されます。
ユーザーは設計領域ごとに次のパラメータを指定する必要があります。
Initial Mass Fraction (INIT): 初期の質量分率
Design Region Linked (PLINK):リンク設計領域
Design Region Definition:設計領域定義
Fabrication Constraints (TSYM3):製造制約
Clone Other Region (TPROPC):クローン他領域
選択領域は、クローン領域として定義されます。
ユーザーは、クローン領域に次のパラメータを指定する必要があります。
Design Region Definition:最適化領域の定義
Parent Region Definition:親領域定義
Clone Parameters:クローン・パラメータ
Notes on Topology Clone Regions:クローン領域のメッシュについて
Initial Mass Fraction (INIT): 初期の質量分率
Mass Fraction (MASSFR):質量分率
質量分率は、トポロジー密度変数(Xi)から計算した質量と完全密度 (トポロジー密度変数 Xi= 1.0)から計算した質量との商です。トポロジー密度変数は、プログラムが内部的に作成する設計変数で、0.0から1.0 間の値を取ることができます。
\(MASSFR=\frac{\sum\nolimits_{i=1}^{i=n} {ρ_0}{x_i}{V_i}} {\sum\nolimits_{i=1}^{i=n} {ρ_0}{V_i}}\)
ここで、Viは要素iの体積、nは全要素数、ρ0は材料密度です。
注: トポロジー密度変数が、0.0の要素は排除され、1.0 の要素は維持されます。
Initial Mass Fraction (INIT):初期質量分率
初期の質量分率は、最適化を開始する際の材料のパーセンテージです。最初の設計サイクルで、トポロジー領域の各要素にInitial Mass Fraction (INIT):初期の質量分率の値と同じ密度値が割り当てられます。
\(INIT=\frac{\sum\nolimits_{i=1}^{i=n} {ρ_0}{INIT}{V_i}} {\sum\nolimits_{i=1}^{i=n} {ρ_0}{V_i}}\)
Mass fractionに使用される値は、一般に0.3ないし0.5 です。Initial Mass Fractionの最大値は 1.0 です。制約上限にMass fractionを指定する場合は、その値をInitial Mass Fractionに設定することを推奨します。
Design Region Linked (PLINK):リンク設計領域
このオプションは、選択された複数の領域を一つのトポロジー領域(TPROP)にまとめるか否かを管理します。
Yes:
複数のボディ/パーツを一つのトポロジー設計領域 (TPROP) としてリンクします。 製造制約は全領域に適用されます
No:
ボディ/パーツごとに一つのトポロジー領域 (TPROP) が作成されます。 製造制約は個々のボディ/パーツごとに適用されます
Design Region Definition:最適化領域の定義
Design Region Definitionは、トポロジー最適の設計領域を指定します。ボディまたはパーツのみを選択できます。複数のボディまたはパーツを1つの設計領域として定義できます。
複数のボディまたはパーツが1つのトポロジー領域に指定された場合、それらボディ/パーツの要素は一つのグループにリンクされます。
製造制約は要素グループ全体に課されます(ボディやパーツの単位ではありません)。設計領域として選択しなかったパーツやボディは、トポロジー最適で設計も変更もされません。
Frozen Region Definition:凍結領域の定義
トポロジー設計領域のボディ、サーフェス、またはエッジを凍結領域に指定できます。
ボディが凍結として定義された場合、そのボディ内の要素はトポロジー最適化の凍結領域に設定されます。サーフェスまたはエッジを凍結として定義した場合、そのサーフェス/エッジに節点を持つ要素が凍結領域に設定されます。
Frozen Region Type:凍結領域タイプ
SoftとHardの2種の凍結領域指定があります。
Soft Frozen Region (TFROZEN):ソフト凍結領域
Soft Frozen Region (TFROZEN)もトポロジー設計領域の一部です。ゆえに製造制約は設計領域と凍結領域の全体に課されます。凍結ボディ、サーフェスあるいはエッジは、設計領域から選択する必要があります。設計領域でないボディ、サーフェスあるいはエッジを凍結領域として指定しても、その指定は無視されます。
Min. and Max. Fraction: 最小および最大分率
この分率値は、凍結領域にどれだけの質量分率を保持するか決定します。デフォルトは、Min. Fractionが0.95 でMax. Fractionが1.0です。これは、トポロジーの最適化中に凍結領域には少なくとも95%の質量(材料)を保持することを意味します。
Hard Frozen Region:ハード凍結領域
Hard Frozen Regionによる指定域はトポロジー設計領域から除外されます。ゆえに製造制約は凍結領域には課されません。また指定域はトポロジー最適で設計も変更もされません。
製造制約
Fabrication Constraints (TSYM3)は、製造要件を課すために使用します。次の製造制約を利用できます。1つのトポロジー設計領域には、3つまで製造制約を課すことができます。
Mirror Symmetry:鏡面対称
Cyclic Symmetry:回転対称
Periodic pattern repetition:周期パターン
Extrusion: 押出し
Filling:充填
Sheet Forming:シート成形
Uniform:同形
Radial Filling:放射状充填
Radial Spoke:放射スポーク
Additive Overhang Angle:オーバーハング制約
次の部材寸法コントロールを利用できます。
Minimum Size Control:最小寸法のコントロール
Maximum Size Control:最大寸法のコントロール
部材寸法コントロールを使用する場合、Spread Fractionを指定できます。Spread Fractionは、トポロジー形状を平滑化するパラメータです。
以上の製造制約の詳細は、Topology Fabrication Constraints (TSYM3) :トポロジー製造制約で説明します。
Parent Region Definition:親領域定義
Parent Regionには、クローン領域の親となる領域(ボディ・パーツ)を指定します。Parent Regionに成れる領域は独立なトポロジー設計領域です。複数のクローン領域が同じ親領域を参照できます。
Clone Parameters:クローン・パラメータ
Clone Ref. Coordinate System (CIDC):クローン領域参照座標系 (CIDC)
クローン領域の参照座標系を指定します。
Parent Ref. Coordinate System (CIDP):元領域参照座標系 (CIDP)
親領域の参照座標系を指定します。
注記
Clone Ref. Coordinate Systemで表示した場合、クローン領域のトポロジー結果は各座標軸の倍率に従いParent Ref. Coordinate Systemで表示した元領域のトポロジー設計に合致します。
Scale Factor:倍率
倍率は、指定の軸に沿ってクローン領域を拡大・縮小するために使用します。これはゼロでない実数値で、デフォルトは1.0です。倍率が1.0より大きい場合、クローン領域のトポロジー設計は元領域よりも大きくなります。逆に倍率が1.0よりも小さい場合、クローン領域のトポロジー設計は親領域よりも小さくなります。負の倍率を指定すると、その軸に沿って形状が反転します。
Scale X:X方向倍率
X方向の倍率(CIDC/CIDP)です。
Scale Y:Y方向倍率
Y方向の倍率(CIDC/CIDP)です。
Scale Z:Z方向倍率
Z方向の倍率(CIDC/CIDP)です。
クローン領域に関する注意
ジオメトリ基準のトポロジー最適が実行される場合:
親領域にMinimum member size(最小部材サイズ)を与える場合、ジオメトリ基準のトポロジー最適が実行されます。この場合、クローン領域のメッシュは親領域のメッシュと同じである必要はありません。
エレメント基準のトポロジー最適が実行される場合:
親領域にMinimum member size(最小部材サイズ)を与えない場合、エレメント基準のトポロジー最適が実行されます。。この場合、クローン領域のメッシュは親領域のメッシュと同じでなければなりません。また、クローン領域の倍率が1.0でない場合、メッシュも同じ倍率で調整しておく必要があります。
Power Rule (POWER):パワールール
トポロジー設計変数と材料物性の関係
GENESISは密度法によりトポロジー最適化問題を解きます。密度法は設計変数と材料間の関係付けを必要とします。その関係付けは、GENESISデフォルトのPOWERルールの場合、次式のように示されます。
\( E(X)=E_0RV2+E_0(1-RV2)X^{RV1} \)
\(ρ(X)=ρ_0X\)
\(TMIN ≤ X ≤ 1.0\)
ここで、
\(E(X):要素ヤング率\)
\(E_0:材料ヤング率\)
\(ρ(X):要素密度\)
\(ρ_0:材料密度\)
\(X:要素の体積分率(トポロジー設計変数)\)
\(TMIN:トポロジー設計変数の最小値\)
\(RV1:ユーザー指示の実数値(通常2.0syo≤RV1≤3.0)\)
\(RV2:E_{MIN}/E_0を表す実数のパラメータ。ここでE_{MIN}はヤング率が取り得る最小値(0.0<RV2≤1.0、通常RV2=1.0E^{-6})\)
これらの方程式はヤング率と密度の間にヒューリスティック(発見的)な関係を作成します。ヤング率と密度は、理論的には設計変数が1.0または0.0の場合に限り真です。設計変数の値が、1.0の要素位置には材料が必要であること意味し、0.0の要素位置には材料が必要でない、との意味を持ちます。
設計目的の定義
Objectives()オブジェクトは、設計目的(TOBJ or TINDEX/TINDEX2)に使用する応答を定義するために使用します。ロードケースの指定を必要とする応答タイプがあります。一つのGENESISシステムの中で複数のObjectivesオブジェクトを定義できます。
Response Type (RTYPE): 応答タイプ
ユーザーは目的として使用する応答を選択する必要があります。応答を選択したら、その応答に対応するデータ指定も必要です。ロードケースに依存する応答については、対応するロードケースを選択する必要があります。
利用できる応答については、Response for Topology Optimization (TRESP1, TRESP2 and TRESP3)で説明します。
Objective Definition:目的定義
応答値が一つの場合と二つ以上の場合で内部処理が変わります。次の3種があります。
Objective for Single Response Value (TOBJ):単応答値
選択した応答に一個の値が含まれる場合、プログラムはTOBJ文で単目的値を定義します
Objective for Multiple Response Values (TINDEX):複数応答値
選択した応答に複数の値が含まれており、GoalにMinまたはMaxを選択した場合、プログラムはゴール(Goal)、重 み係数(weighting factor)およびTINDEXM(DOPTパラメータ)に基づいて、TINDEX文で複数の値から単目的値を定義します。
Objective for Multiple Response Values (TINDEX2) :複数応答値(ベータ法)
選択した応答に複数の値が含まれており、GoalにMin-MaxまたはMax-Minを選択した場合、プログラムはゴール(Goal)、重み係数(weighting factor)およびTINDEXM(DOPTパラメータ)に基づいて、TINDEX2文でベータ法を定義します。
Goal:ゴール
Goalは応答を最小化(Min)するか最大化(Max)するかを指定するために使用します。応答がベクトル(一つの応答が多点の値を持つ)応答の場合、Min-Max(最大値を最小化)またはMax-Min(最小値を最大化)を選択できます。
Minimize or Maximize:最小化または最大化
Minimize:
選択した応答を最小化します
Maximize:
選択した応答を最大化します
選択応答が複数の値を含む場合や複数の目的定義がある場合、それらの値や目的は、重み付け総和法で単一の目的値に変換されます。Topology Index Method (TINDEXM)は、それら応答値をどのように変換するかをコントロールします。これは、Topology/Designインデックス法で説明します。
Min-Max:最大値の最小化
通常Min-Maxは、周波数応答の動的変位、速度、加速度などのベクトル応答のピーク値を最小化または最大化するために選択します。プログラム内部では、Min-Max最適化問題を解くためのベータ法が設定されます。ベータ法は人工的な設計変数Betaを導入し、内部では、Betaを最小化するという目的関数並びに初期のピーク値で正規化したベクトル応答の値がBetaの値を超えないという制約式が設定されます。
目的:
Minimize Beta
制約:
Beta – Vector Response / Initial Peak Response Value > 0.0
他にユーザー定義の制約
ここでInitial Peak Response Valueは、設計サイクル0における最大応答値です。ユーザーがこの値を設定する必要はありません。プログラムが自動設定します。
Weight:重み
Weightは、目的の重み係数を指定します。デフォルト値は 1.0 です。
異なる複数のロードケースに別個の重みを割り当てたい場合、複数の目的を定義し、各ロードケースに対応するよう連携付ける必要があります。
設計制約の定義
Constraints ()は、設計制約(TCONS or TCONS2)に使用する応答を定義するために使用します。
一つのGENESISシステムの中で、複数のConstraintオブジェクトを定義できます。
Response Type (RTYPE):応答タイプ
ユーザーは制約として使用する応答を選択する必要があります。応答を選択したら、その応答に対応するデータ指定も必要です。ロードケースに依存する応答については、設計に対応するロードケースを選択する必要があります。Objectiveで使用できるすべての応答とTSELECT (トポロジー制約の特別応答)が Constraintで利用できます。利用できる応答については、トポロジー最適化で利用できる解析応答で説明します。
Constraint Bounds:制約境界
Bounds:境界
Boundsは、制約の上下境界を定義するために使用します。
トポロジー最適化で利用できる解析応答で示されるように、制約として選択された応答が複数の応答値を持つことがあります。定義した制約が複数の値を持つ場合は、制約境界はそれぞれの応答値に適用されます。
Bound Type:境界タイプ
Actual (TCONS)
入力値(LB または UB)は、実際の境界値として用いられます。
LB < RESPONSEi または RESPONSEi< UB
Scale of Initial (TCONS2)
入力値 (LBまたはUB)は、初期応答値に乗じる倍率として用いられます。
LB* RESPONSEi,0<RESPONSEi または RESPONSEi< UB* RESPONSEi0。
ここでResponsei,0は、設計サイクル0での応答値。
注記
各Constraintsオブジェクト(TRESP1入力)で作成された制約は一つの領域として扱われます。制約スクリーニングは、各領域で最大20個の制約(active/violated)を保持します。
トポロジー製造制約
Topology Fabrication Constraints (TSYM3)は、トポロジー最適化の製造要件を課すために使用します。
次の製造制約を利用できます。
Mirror Symmetry:鏡面対称
Cyclic Symmetry:回転対称
Periodic pattern repetition:パターン
Extrusion: 押出し
Filling:充填
Sheet Forming:シート成形
Uniform:同形
Radial Filling:放射状充填
Radial Spoke:放射スポーク
Additive Overhang Angle:オーバーハング制約
1つのトポロジー設計領域には、3つまで製造制約を課すことができます。
次の部材寸法コントロールを利用できます。
Minimum Size Control:最小寸法のコントロール
Maximum Size Control:最大寸法のコントロール
滑らかなトポロジー結果を得るためのSpread Fractionを指定できます。
エレメント基準VS.ジオメトリ基準
エレメント基準のトポロジーは、設計領域内の各要素と関連する設計変数を使用します。
GENESISは製造制約が課された多様な形状を得るためにジオメトリ基準のアルゴリズムをサポートします。ジオメトリ基準によるトポロジーは、メッシュとは独立に設計空間に生成した「ポール」に関連付けた設計変数を使用します。ジオメトリ基準はポール間隔(SYMV1)と設計変数の影響範囲(SYMV2)を決めるために、Minimum Size Control:最小寸法のコントロールで説明されるMinimum Size ControlやSpread Fractionの指定が必要です。両パラメータの関係性についてはEquation for Minimum Member Size:最小部材寸法の定義式の項目を参照してください。
ジオメトリ基準の使用を推奨または必要とするのは次のようなケースです。
・対称でないメッシュから対称性を得る場合
・回転対称でないメッシュから回転対称性を得る場合
・押出し方向に均等でないメッシュで押出しする場合
・Filling:充填制約を使用する場合
・Sheet Form:シート成型制約を使用する場合
・放射状充填制約を使用する場合
・放射状スポーク制約を使用する場合 Minimum Member Size(最小部材寸法)が指定されるとジオメトリ基準が作動します。指定がない場合は、エレメント基準です。
Mirror Symmetry:鏡面対称
Mirror Symmetry製造制約はトポロジー領域に鏡面対称を強制します。参照座標系の指定が必要です。
Mirror Symmetryのオプション;
MXY:XY平面で対称
MYZ:YZ平面で対称
MZX:ZX平面で対称
Minimum Member Sizeを指定しない場合は、設計領域が鏡面対称なメッシュを使用してください。
Minimum Member Sizeを指定するとジオメトリ基準が作動します。設計領域のメッシュは鏡面対称でなくても構いません。
Mirror Symmetry:鏡面対称
Cyclic Symmetry:回転対称
Cyclic Symmetry製造制約はトポロジー領域に回転対称を強制します。参照座標系と回転対称数(n)の指定が必要です。
Cyclic Symmetryのオプション;
CX:X軸中心の回転
CY:Y軸中心の回転
CZ:Z軸中心の回転
Minimum Member Sizeを指定しない場合は、設計領域が回転対称なメッシュを使用してください
Minimum Member Sizeを指定した場合は、ジオメトリ基準が作動します。設計領域のメッシュが回転対称である必要はありません。
Cyclic Symmetric Section(n=5)
Periodic pattern repetition:周期パターン
Periodic pattern repetition製造制約は、設計領域にトポロジーパターンの繰返しを強制します。参照座標系と軸沿いの繰り返し間隔の指定が必要です。Periodic pattern repetition(周期パターン)とSymmetric Periodic pattern repetition(対称的周期パターン)の2種があります。
Periodic pattern repetitionのオプション;
PX:周期パターンをX軸で繰返し
PY:周期パターンをY軸で繰返し
PZ:周期パターンをZ軸で繰返し
Minimum Member Sizeを指定しない場合は、設計領域が周期的なメッシュを使用してください。
Minimum Member Sizeを指定した場合は、ジオメトリ基準が作動します。。設計領域のメッシュが周期的である必要はありません。
Periodic Pattern Repetition
Symmetric periodic pattern repetitionのオプション
P0X:対称的周期パターンをX軸で繰返し
P0Y:対称的周期パターンをY軸で繰返し
P0Z:対称的周期パターンをZ軸で繰返し
Minimum Member Sizeは必須指定しない場合は、設計領域が対称で周期的なメッシュを使用してください。
Minimum Member Sizeを指定した場合は、ジオメトリ基準が作動します。設計領域のメッシュが対称で周期的である必要はありません。
Symmetric Periodic Pattern Repetition
Extrusion: 押出し
Extrusion製造制約は、トポロジー領域に押出要件を課します。参照座標系の指定と押出方向の選択が必要です。
Extrusionのオプション;
EX:X軸沿いの押出し
EY:Y軸沿いの押出し
EZ:Z軸沿いの押出し
Minimum Member Sizeを指定しない場合は、設計領域が押出方向に同形なメッシュを使用してください。
Minimum Member Sizeを指定した場合は、ジオメトリ基準が作動します。設計領域のメッシュが押出方向に同形である必要はありません。
Extrusion
Extrusionには、次のような3つのサブオプションがあります。
Circular Option (CIRCLE):回転
このオプションを用いると、押出経路に回転エッジを使用できます。EX、EY、EZ オプションは、Extrusion(押出し)を宣言しているだけです。実際の押出し方向は定義エッジの経路で決まります。
Along a Curved Path Option (PATH):カーブ
このオプションを用いると、押出経路に曲線エッジを使用できます。EX、EY、EZ オプションは、Extrusion(押出し)を宣言しているだけです。実際の押出し方向は定義エッジの経路で決まります。
Along a Surface Normal Option (SURF):面法線
このオプションを用いると、指定面の面法線を押出し方向に使用できます。EX、EY、EZ オプションは、Extrusionの使用を宣言しているだけです。実際の押出し方向は面法線で決まります。
Filling:充填
Filling製造制約は、成形品と金型の嚙み合いを防止するような、いわゆる鋳造要件を課します。Filling製造制約は、材料が指定方向へ充填される形で領域中に加えられます。参照座標系と充填方向の指定が必要です。
Minimum Member Sizeは必須指定です。
Fillingのオプション;
参照軸のtop(+)面から充填する
FTX:X軸 (+ to -)
FTY:Y軸 (+ to -)
FTZ:Z軸 (+ to -)
参照軸のtop(+)面とbottom(-)面から同時に充填する
FSX:X軸 (outside to in)
FSY:Y軸 (outside to in)
FSZ:Z軸 (outside to in)
内部から充填する
FGX:X軸 (inside to out)
FGY:Y軸 (inside to out)
FGZ:Z軸 (inside to out)
指定面から対称に充填する
F0X:X軸 (plane to – and +)
F0Y:Y軸 (plane to – and +)
F0Z:Z軸 (plane to – and +)
Filling:充填 赤(材料)、青(空間)
Fillingには、次のような4つのサブオプションがあります。
Allow Through Holes (PUNCH): 貫通の許可
FBX/FBY/FBZ, FTX/FTY/FTZ, FGX/FGY/FGZ 制約の場合、Allow Through Holesパラメータを指定できます。2つのオプションを使用できます。
・Yes:充填方向に貫通を許す(デフォルト)
・No:充填方向に貫通を許さない。A Minimum Thickness (STHICK)(最小肉厚)を指定する必要があります
Minimum Depth Control:最小深さのコントロール
Top面およびbottom面から充填する場合、Minimum Depthパラメータを指定できます。利用できるオプションは次の通りです。
・Yes:充填方向における最小深さをコントロールします。Minimum Depthを指定する必要があります
・No:最小深さをコントロールしません。デフォルトです。
Maximum Depth Control:最大深さのコントロール
Top面およびbottom面から充填する場合、Maximum Depthパラメータを指定できます。利用できるオプションは次の通りです。
・Yes:充填方向における最大深さをコントロールします。Maximum Depthを指定する必要があります
・No:最大深さをコントロールしません(デフォルト)
Along a Surface Normal Option (SURF):面法線方向への充填
ユーザーは、選択面の法線を充填方向として使用できます。これは、FBX、FBY、FBZ、または FTX、FTY、FTZ に対して有効なオプションです。FBX、FBY、FBZ、または FTX、FTY、FTZ オプションは、Filling製造制約の適用を宣言しているだけです。実際の充填方向は選択面の面法線によって決まります。
Sheet Forming:シート成形
Sheet Forming製造制約は、1枚または2枚のシート状の形状生成を強制します。参照座標系の定義と打刻方向の選択が必要です。Minimum Member Sizeは必須指定です。
Sheet Formingのオプション;
参照軸のbottom面に配置した平らなシートを、
SBX: X軸 +の向きに打刻
SBY: Y軸 +の向きに打刻
SBZ: Z軸 +の向きに打刻
参照軸のtop面に配置した平らなシートを、
STX: X軸 -の向きに打刻
STY: Y軸 -の向きに打刻
STZ: Z軸 -の向きに打刻
参照軸のbottom面とtop面に配置した平らなシートを、
S2X: X軸 -と+の向きに同時に打刻
S2Y: Y軸 -と+の向きに同時に打刻
S2Z: Z軸 -と+の向きに同時に打刻
Sheet forming:Z方向のシート成形
Sheet Formingには次のような4つの付加パラメータがあります。
Sheet thickness(STHICK):シート厚
シート厚は必須入力です。厚みの指定には、Real>0または-1.0≦Real<0.0の2通りあります。前者は実厚をセットする形式です。後者は、領域高さに対する比率をセットする形式です。
Allow through holes (PUNCH):貫通の許可
穴あきシートを許可する/しないを、YES or NOで指定できます。デフォルトはYesです。
Void value (VOIDDNS):空間部のボイド
空間部のボイド。デフォルトは0.001です。通常は、変更の必要はありません。
Start offset (OFFSET)
シートの始まり位置。Top面またはbottom面からのオフセット量を、領域の高さに対する比率(0.0<Real<1.0)で与えます。デフォルトは0.0です。
Uniform:同形
Uniform製造制約は、指定面に平行な面内で同形、あるいはすべての方向で同形となる要件を課します。
Uniformのオプション;
指定面に平行な面内で同形
UXY:XY面に平行な面内で同形
UYZ:YZ面に平行な面内で同形
UZX:ZX面に平行な面内で同形
Uniform:指定面に平行な面内で同形
UXYZ:全ての方向で同形
UXYZオプションは、設計領域全体の要素を1つの設計変数でコントロールします。結果として、領域全体を維持するか削除するかのどちらかになります。
Uniform:全方向で同形
Minimum Member Sizeを指定しない場合は、設計領域が指定面に平行な面内で同形なメッシュを使用してください。Minimum Member Sizeを指定した場合は、ジオメトリ基準が作動します。設計領域のメッシュが平行な面内で同形である必要はありません。
Radial Filling:放射状充填
Radial Filling(放射状充填)は、放射的な充填を強制します。Radial Filling製造制約を使用する場合、参照座標系の定義と充填方向の選択が必要です。また、Minimum Member Size(最小部材寸法)の指定が必須です。
Radial Fillingのオプション;
内径(bottom)面から外径(top)面へ充填
RBX:X軸中心
RBY:Y軸中心
RBZ:Z軸中心
外径(top)面から内径(bottom)面へ充填
RTX:X軸中心
RTY:Y軸中心
RTZ:Z軸中心
領域内の位置から外径(top)面へ充填
RGX:X軸中心
RGY:Y軸中心
RGZ:Z軸中心
Radial Filling:放射状に充填 赤(材料)、灰(空間)
付加パラメータNumber of Radial Candidates: NSECT (放射候補の数)があります。
このパラメータはトポロジー領域をいくつの扇型に分割するかコントロールします。このパラメータが大きいほど設計変数の数は多くなり設計自由度が高まります。使用する値は一般に30、60、90、360です。
Cyclic Symmetry制約とRadial Filling制約を一緒に使用する場合、Number of Radial CandidatesはCyclic SymmetryのNo of Cyclic Sectionsの倍数である必要があります。たとえば、No of Cyclic Sectionsが5であれば、Number of Radial Candidatesは、30(5×6)、35(5×7)、200(5×40)のようにします。
Radial Spoke:放射スポーク
Radial Spoke制約は、トポロジー領域でスポーク形状の押出し要件を課すために使用します。この製造制約を使用する場合、参照座標系の定義と押出方向の選択が必要です。
Radial Spokeのオプション;
KX: X軸を中心にスポーク形状を押出し
KY: Y軸を中心にスポーク形状を押出し
KZ: Z軸を中心にスポーク形状を押出し
Minimum Member Size(最小部材寸法)の指定は必須です。トポロジー領域のメッシュが、指定の放射押出方向に同形である必要はありません。
付加的なパラメータとしてNumber of Radial Candidates:NSECTがあります。このパラメータは、トポロジー領域をいくつの扇型に分割するかを管理します。この値が大きいほど、設計変数が増加し、設計自由度が大きくなります。使用値は一般に、30、60、90、360です。
Cyclic Symmetry制約とRadial Spoke制約を一緒に使用する場合、Number of Radial CandidatesはCyclic SymmetryのNo of Cyclic Sectionsの倍数である必要があります。たとえば、No of Cyclic Sectionsが5であれば、Number of Radial Candidatesは、30(5×6)、35(5×7)、200(5×40)となります。
Radial Spoke:放射スポーク
Additive Overhang Angle:オーバーハング制約
オーバーハング角制約は、付加製造 (材料押出や FFF/FDMなど) における支持部材を最小化するために使用します。この製造制約を使用する場合、参照座標系の定義とビルド方向の選択が必要です。
Overhang Angle Definition:オーバーハング角度の定義
デフォルトでは、オーバーハング角度は、下図のようにビルドプラットフォーム(濃い灰色部)から測定されます。赤部がトポロジー最適化結果です。左側の構造にはサポートがありません。ビルドのオーバーハング角度が臨界角(この場合は 45 度) 以上あるためです。一方の右側の構造は、オーバーハング角度が臨界角よりも小さいためサポートが必要になります。
Overhang Angle:オーバーハング角
Build Direction:ビルド方向
ビルド方向は、付加製造機が層構造をビルドする方向です。ビルド方向はローカル座標系を使用して定義します。ローカル座標系を決めたらbottomからビルドするかtopからビルドするかを選択します。bottomからのビルドは ABX、ABY、ABZの何れかを、topからのビルドでは ATX、ATY、ATZの何れかを使用します。
オーバーハング角度制約
Parameters for Additive Overhang Constraints:オーバーハング制約のパラメータ
ユーザーは、解析設定の詳細-> Additive Overhangからオーバーハング制約のパラメータにアクセスできます。詳細は、Additive Overhang:付加製造オーバーハングのセクションを参照してください。
Combining Fabrication Constraints:製造制約の組合せ
トポロジー領域に複数の製造制約を課したいときがあります。その場合は、領域ごとに3つまで製造制約を使用できます。ただし、すべてを組み合わせることができるわけではありません。以下の表は、可能な組み合わせを示します (Periodic制約は含みません)。
MXY+MYZ, MXY+MZX, MYZ+MZX, MXY+MYZ+MZX |
CX+MYZ, CY+MZX, CZ+MXY |
EX+MXY, EX+MZX, EX+MXY+MZXEY+MYZ, EY+MXY, EY+MYZ+MXYEZ+MZX, EZ+MYZ, EZ+MZX+MYZ |
EX+CX, EY+CY, EZ+CZ |
UYZ+MYZ, UZX+MZX, UXY+MXY |
FiX+MXY, FiX+MZX, FiX+MXY+MZXFiY+MYZ, FiY+MXY, FiY+MYZ+MXYFiZ+MZX, FiZ+MYZ, FiZ+MZX+MYZ |
FiX+CX, FiY+CY, FiZ+CZ |
RiX+MXY, RiX+MYZ, RiX+ MZX,RiX+MXY+MYZ,RiX+MXY+MZX,RiX+MYZ+MZXRiY+MXY, RiY+MYZ, |
RiY+MZX,RiY+MXY+MYZ,RiY+MXY+MZX,RiY+MYZ+MZXRiZ+MXY, RiZ+MYZ, |
RiZ+MZX,RiZ+MXY+MYZ,RiZ+MXY+MZX,RiZ+MYZ+MZX |
RiX+CX, RiY+CY, RiZ+CZ |
RiX+EX, RiY+EY, RiZ+EZ |
RiX+CX+EX, RiY+CY+EY, RiZ+CZ+EZ |
RiX+CX+MYZ, RiY+CY+MZX, RiZ+CZ+MXY |
RiX+EX+MXY, RiX+EX+MZX, RiY+EY+MXY, RiY+EY+MYZ, RiZ+EZ+MYZ, RiZ+EZ+MZ |
Periodic製造制約と有効な組合せを次表に示します。
Types that can combined with Periodic | Types that can combined with Periodic Combinations |
2 or 3 Periodic | PX+PY, PX+PZ, PY+PZ, PX+PY+PZ |
Periodic + 1 or 2 Mirrors | PX+MXY, PX+MZX, PX+MXY+MZX, PY+MXY, PY+MYZ, PY+MXY+MYZ, PZ+MZX, PZ+MYZ, PZ+MZX+MYZ |
2 Periodic + Mirror | PX+PY +MXY, PX+PZ +MZX, PY+PZ +MYZ |
Periodic + Cyclic | PX+CX, PY+CY, PZ+CZ |
Periodic + Extrusion | PX+EY, PX+EZ, PY+EX, PY+EZ, PZ+EX, PZ+EY |
2 Periodic + Extrusion | PX+PY+EZ, PX+PZ+EY, PY+PZ+EX |
Periodic + Mirror + Extrusion | PX+MXY+EY, PX+MZX+EZ, PY+MXY+EX+, PY+MYZ+EZ, PZ+MZX+EX, PZ+MYZ+EY |
Periodic + Uniform | PX+UYZ, PY+UZX, PZ+UXY |
Periodic + Filling | PX+FiY, PX+FiZ, PY+FiX, PY+FiZ, PZ+FiX, PZ+FiY |
2 Periodic + Filling | PX+PY+FiZ, PX+PZ+FiY, PY+PZ+FiX, |
Periodic +Mirror + Filling | PX+MXY+FiY, PX+MZX+FiZ, PY+MXY+FiX,PY+MYZ+FiZ, PZ+MZX+FiX, PZ+MYZ+FiY |
Periodic + Radial | RiX+PX, RiY+PY, RiZ+ PZ |
Periodic + Mirror + Radial | PX+MXY+RiX, PX+MZX+RiX, PY+MXY+RiY, PY+MYZ+RiY, PZ+MYZ+RiZ, PZ+MZX+RiZ |
Periodic +Cyclic + Radial | PX+CX+RiX, PY+CY+RiY, PZ+CZ+RiZ |
上表において、
・FiXとは、FBX、FTX、FSX、FGX、F0X、SBX、STX、S2Xの何れか一つです
・FiYとは、FBY、FTY、FSY、FGY、F0Y、SBY、STY、S2Yの何れか一つです
・FiZとは、FBZ、FTZ、FSZ、FGZ、F0Z、SBZ、STZ、S2Zの何れか一つです
・RiXとは、RBX、RTX、RGX、KXの何れか一つです
・RiYとは、RBY、RTY、RGY、KYの何れか一つです
・RiZとは、RBZ、RTZ、RGZ、KZの何れか一つです
・PXとは、PX、P0Xの何れか一つです
・PYとは、PY、P0Yの何れか一つです
・PZとは、PZ、P0Zの何れか一つです
UXYZ製造制約は他の製造制約と組合せ使用できません。
これら組み合わせのすべてを記憶する必要はありません。製造制約の選択GUIは、選択済みの制約と同時に選択できないものは表示しません。
すべての製造制約一覧
タイプ | 製造制約内容 |
---|---|
MXY | XY面で鏡面対称 |
MYZ | YZ面で鏡面対称 |
MZX | ZX 面で鏡面対称 |
CX | X軸中心で回転対称 |
CY | Y軸中心で回転対称 |
CZ | Z軸中心で回転対称 |
EX | X軸沿いに押し出し |
EY | Y軸沿いに押し出し |
EZ | Z軸沿いに押し出し |
UXY | XY面に平行な面内で同形状 |
UYZ | YZ 面に平行な面内で同形状 |
UZX | ZX 面に平行な面内で同形状 |
UXYZ | 全ての方向で同形状(領域が充填または空) |
PX | X方向に、同形状を規則的に繰り返し配置 |
PY | Y方向に、同形状を規則的に繰り返し配置 |
PZ | Z方向に、同形状を規則的に繰り返し配置 |
P0X | X方向および-X方向に、同形状を規則的に繰り返し配置 |
P0Y | Y方向および-Y方向に、同形状を規則的な繰り返し配置 |
P0Z | Z方向および-Z方向に、同形状を規則的な繰り返し配置 |
FBX | X軸方向 ボトム面(-)から充填する |
FBY | Y軸方向 ボトム面(-)から充填する |
FBZ | Z軸方向 ボトム面(-)から充填する |
FTX | X軸方向 トップ面(+)から充填する |
FTY | Y軸方向 トップ面(+)から充填する |
FTZ | Z軸方向 トップ面(+)から充填する |
FSX | X軸方向 ボトム面とトップ面から同時に充填する |
FSY | Y軸方向 ボトム面とトップ面から同時に充填する |
FSZ | Z軸方向 ボトム面とトップ面から同時に充填する |
FGX | X軸方向 内部面から充填する |
FGY | Y軸方向 内部面から充填する |
FGZ | Z軸方向 内部面から充填する |
F0X | X軸方向 指定面から対称に充填する |
F0Y | Y軸方向 指定面から対称に充填する |
F0Z | Z軸方向 指定面から対称に充填する |
RBX | X軸を中心として内面から径方向に充填 |
RBY | Y軸を中心として内面から径方向に充填 |
RBZ | Z軸を中心として内面から径方向に充填 |
RTX | X軸を中心として外面から径方向に充填 |
RTY | Y軸を中心として外面から径方向に充填 |
RTZ | Z軸を中心として外面から径方向に充填 |
RGX | X軸を中心として内部から内・外面へ径方向に充填 |
RGY | Y軸を中心として内部から内・外面へ径方向に充填 |
RGZ | Z軸を中心として内部から内・外面へ径方向に充填 |
KX | X軸中心のスポーク |
KY | Y軸中心のスポーク |
KZ | Z軸中心のスポーク |
SBX | X軸のbottom面に配置した平らなシートを+Xの向きに打刻 |
SBY | Y軸のbottom面に配置した平らなシートを+Xの向きに打刻 |
SBZ | Z軸のbottom面に配置した平らなシートを+Xの向きに打刻 |
STX | X軸のtop面に配置した平らなシートを-Xの向きに打刻 |
STY | Y軸のtop面に配置した平らなシートを-Yの向きに打刻 |
STZ | Z軸のtop面に配置した平らなシートを-Zの向きに打刻 |
S2X | X軸のbottom面とtop面に配置した平らなシートを、それぞれ-Xと+Xの向きに打刻 |
S2Y | Y軸のbottom面とtop面に配置した平らなシートを、それぞれ-Yと+Yの向きに打刻 |
S2Z | Z軸のbottom面とtop面に配置した平らなシートを、それぞれ-Zと+Zの向きに打刻 |
最小寸法のコントロール
Minimum Member Size:最小部材寸法
Minimum Member Sizeは、トポロジーが構成する部材に許容する最小寸法です。Minimum Member Sizeは、少なくとも要素寸法の2倍の大きさを必要とします。またMinimum Member Sizeを大きくすると、設計変数は少なくなります。
Minimum Member Sizeの使用には2つの目的があります。第一の目的は名称通り、構造の最小部材寸法を規定することです。第2の目的はジオメトリ基準のトポロジー設計法を有効にすることです。これは充填制約やシート成型制約などの製造制約で必要な他、製造制約に適さないメッシュへの製造制約の適用を可能にします。具体的には次のようなケースです。
・対称でないメッシュにSymmetry(対称制約)を課す
・回転対称でないメッシュにCyclic Symmetric(回転対称)を課す
・押出し方向に同形でないメッシュにExtrusion(押出)を課す
・Filling(充填制約)を課す際は常にMinimum Member Sizeが必要
・Sheet forming(シート成型制約)を課す際は常にMinimum Member Sizeが必要
・指定面に平行な面内で同形でないメッシュにUniform in parallel planesを課す
・Radial filling(放射状充填制約)を課す際は常にMinimum Member Sizeが必要
・放射押出方向に同形でない要素にRadial spoke(放射スポーク制約)を課す
Minimum Member Sizeの使用は製造制約が無い場合や、指定された製造制約に相応しい整ったメッシュを有するモデルについては任意です。なおMinimum Member Sizeを指定すると、ジオメトリ基準のトポロジー設計が実施されます。指定しない場合はエレメント基準法のトポロジー設計が実施されます。
Spread Fraction:スプレッド・フラクション
Spread Fractionはトポロジー結果に滑らかさを与えるパラメータです。値の範囲は、0.0から1.0です。一般的な値は0.0または0.5です。値0.0はスムーズ化処理をしません。値0.5はスムーズ化された結果を提示します。下図の左(値0.0)の結果は、右(値0.5)の結果よりも境界エッジのジグザグが目立っています。
Spread fraction=0(左図)とSpread fraction=0.5(右図)
Equation for Minimum Member Size:最小部材寸法の定義式
ジオメトリ基準のトポロジー最適化は、設計空間に配置されるポールに関連付けられた設計変数を使用します。ポールの間隔(spacing)とMinimum Member Sizeの関係は、次式で表されます。
Minimum Member Size =SYMV1+2*SYMV2
Spread Fraction =SYMV2/SYMV1
SYMV1とSYMV2は、設計変数のspacingとspreadを指定するために使用します。
Maximum Size Control:最大寸法のコントロール
Maximum Member Size (SYMV3) :最大部材寸法
このパラメータは構成部材に許容する最大寸法をコントロールします。材料の集中を回避したいとき役に立ちます。Maximum Member Size は、一般にMinimum Member Sizeの3倍の値が必要です。ただしMaximum Member Sizeの使用は必要なときだけにしてください。設計自由度が低下し、計算時間は増加するからです。なおMinimum Member Sizeは、計算時間に影響しません。Maximum Member Sizeの使用の際は、次に記すMinimum Gapも使用する必要があります。
Minimum Gap (SYMV4):最小ギャップ
このパラメータは、生成部材同士が互いに近すぎることのないようトポロジー結果を分離するのに役立ちます。Maximum Member Sizeを使用するときは、Minimum Gapが必要です。Minimum Gapのデフォルト値は、Maximum Member Sizeと同じ値です。Maximum Member Size使用しないとMinimum Gapも使用されません。
maximum size controlなし(左)とmaximum size controlあり(右)
トポロジーで利用できる解析応答
応答量は最適化タスクの制約や目的を生成するためにGENESIS内で使用されます。現バージョンのGENESIS Structural for ANSYS Mechanicalがサポートするトポロジー最適化用の解析応答は次のとおりです。
全ての解析ロードケースから得られる解析応答
Topology Mass Fraction (MASSFR):トポロジー質量分率
System Inertia (INERTIA): 慣性系
静解析のロードケースから得られる応答
Strain Energy (SENERGY):ひずみエネルギー
Mechanical Strain Energy (SENERGY):メカニカルひずみエネルギー
Displacement (DISP):変位
Relative Displacement (RELDISP):相対変位
Reaction Force (SPCF):反力
Contact Clearance (CDISP):接触クリアランス
Contact Pressure (CPRESS):接触圧
Stress (STRESS):応力
Grid Stress (GSTRESS):節点応力
Strain (STRAIN):ひずみ
Von-mises Index (VMINDEX):フォン・ミーゼス指数
モーダル解析のロードケースから得られる応答
Frequency Mode Number (FREQ):周波数モード番号
座屈解析のロードケースから得られる応答
Buckling Load Factor (LAMA):座屈荷重係数
ハーモニック解析およびランダム振動解析のロードケースから得られる応答
Dynamic Displacement (DDISP, MDISP, PSDDISP or RMSDISP) :動的変位
Dynamic Velocity (DVELO, MVELO, PSDVELO or RMSVELO): 速度
Dynamic Acceleration (DACCE, MACCE, PSDACCE or RMSACCE): 加速度
Dynamic Stress (DSTRESS, RMSSTR, PSDSTR): 動的応力
Dynamic Grid Stress (DGSTRESS): 動的節点応力
Equivalent Radiated Power (ERP):等価放射パワー
定常熱伝導解析のロードケースから得られる応答
Temperature (TEMP):温度
Heat Transfer Compliance (HTC):熱伝導コンプライアンス
非定常熱伝導解析のロードケースから得られる応答
Transient Temperature (TTEMP):非定常温度
トポロジー最適専用のエクストラ応答
TSELECT
静的疲労解析のロードケースから得られる応答
Fatigue Response (FATIGUE/GFATIGUE) :疲労応答
Synthetic応答:合成応答
各種の解析応答値をはじめ、設計変数値、定数値、節点座標値の演算による合成的な応答を、制約や目的に使用できます。合成の方法には、ⅰ)代数式を定義する方法、ⅱ)ビルトイン関数を使用する方法、ⅲ)外部計算ルーチンを使用する方法の3つがあり、それらはTRESP2/TRESP3データによるSynthetic応答の定義に示されるように、TRESP2データまたはTRESP3データを用いてGENESIS入力の形に変換されます。
代数式を定義する方法を選択した場合は、TRESP2データを用いたGENESIS入力の形に自動変換されます。
内蔵関数を使用する方法または外部計算ルーチンを使用する方法を選択した場合は、TRESP3データを用いたGENESIS入力の形に自動変換されます。
解析応答値は、TRESP1データで特定されます。Synthetic応答値は、TRESP2/TRESP3データで定義されます。設計変数値はTVARデータ文で定義されます。節点座標値はDVGRIDデータ文で定義されます。詳細は次のセクションで説明します。
TRESP1データによる応答値の特定
TRESP1 データ
制約や目的に使用する解析応答値は、TRESP1データで定義されます。TRESP1データのフォーマットは次の通りです。
RTYPE = MASSFR, INERTIA, SENERGY, FREQ, DISP, RELDISP, DDISP, DVELO, DACCE, MDISP, MVELO, MACCE, RMSDISP, RMSVELO, RMSACCE or LAMA
例:
・STRAIN ENERGY(全ひずみエネルギー)を指定するデータ入力例
・System mass fraction(全設計要素の質量分率)を指定するデータ入力例
・プロパティ番号45に関するmass fraction(質量分率)を指定するデータ入力例
・節点78のu変位(x変位)を指定するデータ入力例
TRSPP1データの詳細はGENESIS Design Reference Manualを参照ください。
GSAM/GTAMが生成するTRESP1入力データ
TRESP1入力データは、選択した応答タイプ、対象ジオメトリ、そして目的と制約のどちらに使用するのかに基づいて自動生成されます。基本的な生成規則は次の通りです。
応答を制約に使用する場合は、一つのTRESP1入力が生成されます
これは制約スクリーニングの効率化のためです。制約スクリーニングは、各領域と各ロードケースで実施され、そこでは、各TRESP1入力は一つの領域として取り扱われます。デフォルトでは各ロードケースの各領域について20個の制約(active/violated)が保持されます。
応答を目的に使用する場合は、ゴールに基づいて一つまたは複数のTRESP1入力が生成されます。
ゴールをMinまたはMaxにすると、複数のTRESP1が生成されます(各TRESP1が一つの応答値を持ちます)。なお、TRESP1が複数の値を持つ場合、MinゴールまたはMaxゴールは無効です。
ゴールをMin-maxにすると、β制約に関する一つのTRESP1入力が生成されます。β法についてはObjectives (TOBJ or TINDEX/TINDEX2) :目的のGoalを参照ください。
・応答がロードケースに依存する場合、TRESP1入力はロードケースごとに個別に生成されます。
次表は、GSAM/GTAMで生成されるTRESP1入力の要約です。
ロードケース から独立な応答 タイプ。
ロードケース依存の応答 タイプ。
指定され たグリッドの数またはエレメントの数の応答値が 存在する応答タイプ。
多数の応答値が存在する応答タイプ
TRESP2/TRESP3データによるSynthetic応答の定義
TRESP2データ
TRESP2データは、代数式を定義する方法から得られるSynthetic応答を定義するデータです。TRESP2 データの入力形式は次のとおりです。
キーワード
TVAR 、 DTABLE 、 TRESP1 の それぞれ に続くデータは、トポロジー特別変数の ID 、定数名、 TRESP1 の ID で す 。
TRESP2データは、代数式が記述された DEQATN データを参照します。 トポロジーのエクストラ変数の値、定数値、解析応答値が代数式の入力引数として定義できます。
TRESP2データの詳細については、 GENESIS Design Reference Manual を参照してください。
TRESP3データ
TRESP2データは、ビルトイン関数を使用する方法または外部計算ルーチンから得られるSynthetic応答を定義するデータです。TRESP3 データの入力形式は次のとおりです。
キーワード
TVAR 、DTABLE 、TRESP1のそれぞれに続くデータは、トポロジー特別変数の ID 、定数名、TRESP1 の IDです 。
TRESP3データは、応答の計算に使用する外部計算ルーチンを特定するためのLibrary ID や内蔵関数の名称を参照します。
トポロジーエクストラ変数の値、定数値、そして各種解析応答値が、外部計算ルーチンや ビルトイン関数の入力引数 として使用されます。
ビルトイン関数には、次のものが登録されています。
SUM1, SUM2, SUM3, SUM4, AVG1, AVG2, AVG3, AVG4, NORM1, NORM2, NORM3, NORM4, MULT1, MULT2, MULT3, MULT4, SAVG1, SAVG2, SAVG3, SAVG4, ASAVG1, ASAVG2, ASAVG3, ASAVG4, PNORM2 or SDEV
これらのビルトイン関数およびTRESP3データの詳細については、 GENESIS Design Reference Manual を参照してください。
Strain Energy (SENERGY):ひずみエネルギー
Strain Energyは、解析モデル全体の全ひずみエネルギー(Total Strain Energy)です。対応する荷重ケースを選択する必要があります。応答は単一のスカラー値です。
Region:領域
Strain Energy (SENERGY)応答は、モデル全体に適用されます。
この応答は、1/2*U-1Fで全ひずみエネルギーを計算するもので、温度荷重の影響は無視します。
このオプションで計算されたひずみエネルギーをTotal Strain Energy:全ひずみエネルギーとも呼びます。
注意
一般的な剛性問題では、ひずみエネルギーが小さいほど、構造は剛になります。強制変位下での剛性問題はあまり一般的ではないかもしれませんが、この場合はひずみエネルギーが大きいほど構造は剛になります。
Mechanical Strain Energy (SENERGY):メカニカルひずみエネルギー
メカニカルひずみエネルギーは熱の影響を考慮します。次式で定義されます。
Mechanical Strain Energy = Total Strain Energy – Thermal Corrections
Region:領域
Mechanical Strain Energy (選択グループのひずみエネルギー) は、すべてまたは選択ボディ/パーツの要素ひずみエネルギーの合計を算出します。算出の際は温度荷重の影響が考慮されます。
Mechanical Strain Energyの使用シナリオ (特定グループのひずみエネルギーを使用するシナリオ):
• 静的荷重ケースに温度荷重がある場合、Mechanical Strain Energyを使用する必要があります。そして「すべてのボディ」に対するMechanical Strain Energyも使用してください
• 設計パートが大きなアセンブリの一部にすぎない場合、モデル全体のひずみエネルギー (全ひずみエネルギー) の変化は、設計パートの変化に敏感ではありません。このような場合に設計パートをスコープ領域として選択するのを検討できます
• 特定パートへの強制荷重の場合、そのパートのひずみエネルギーを最大化するのがよいでしょう
注意
一般的な剛性問題では、ひずみエネルギーが小さいほど、構造は剛になります。強制変位下での剛性問題はあまり一般的ではないかもしれませんが、この場合はひずみエネルギーが大きいほど構造は剛になります。
メカニカルひずみエネルギーの計算は、全ひずみエネルギーの計算よりもコストがかかります。静的ロードケースで温度荷重がない場合は、常に全ひずみエネルギー(モデル全体を選択)を使用してください。
Mechanical Strain Energy応答は、対応する荷重ケースを選択する必要があります。応答は単一値です。
Topology Mass Fraction (MASSFR):トポロジー質量分率
Topology Mass Fractionは選択した設計領域または全設計領域に関連付けられる分率的な質量です。
ここで設計変数Xiは、プログラムが内部的に生成するもので0.0と1.0間の値を取ります。Viは各要素の体積、nは全要素数、ρは材料密度です。
Topology Mass Fractionは、単一値です。Topology Mass Fractionはトポグラフィー最適化、フリーフォーム最適化、サイジング/トポメトリ最適化では使用できません。これらのタイプの最適化では要素の密度は変化しないためです。
Region:領域
次の2つのオプションがあります。
・Selected Groups
選択トポロジー設計領域に与えるmass fraction(質量分率)を定義します
・All Design Groups
全てのトポロジー設計領域に与えるmass fraction(質量分率)を定義します
Displacement (DISP):変位
Displacementは、指定グリッド(単一または複数)の静的変位です。この応答は、対応するロードケースの指定が必要です。
Geometry Selection:ジオメトリ選択
入力範囲は、 節点、頂点、エッジ、サーフェス、ボディです。
2つ以上の節点を選択するか、2つ以上の節点を含むジオメトリを選択すると、応答は複数値になります(グリッドごとに1応答)。
Remote Point Selection:リモート点選択
リモート点の変位応答も定義できます。リモート点はあらかじめANSYSメカニカルで定義しておきます。
Coordinate System:座標系
ユーザーは、変位が参照する座標系(Coordinate System)を指定できます。
Components:成分
利用できるオプション;
・Magnitude :大きさ
・Translation X :X軸並進成分
・Translation Y :Y軸並進成分
・Translation Z :Z軸並進成分
・Rotation X :X軸回転成分
・Rotation Y :Y軸回転成分
・Rotation Z :Z軸回転成分
Relative Displacement (RELDISP):相対変位
Relative Displacementは、Reference Grid(参照グリッド)とPrimary Grid(主グリッド(単一または複数))間の変位差です。この応答では、対応するロードケースの指定が必要です。
Primary Grid Selection:主グリッド選択
Primary Gridの入力範囲は、節点、頂点、エッジ、サーフェス、ボディまたはリモート点です。2つ以上の節点を選択するか、2つ以上の節点を含むジオメトリを選択した場合、応答は複数の値を持ちます(各Primary Gridに対し1つの値)。
Reference Grid Selection:参照グリッド選択
Reference Gridの入力範囲は、節点、頂点、またはリモート点です。参照節点として選択できるグリッドは、1つの節点か頂点です。相対変位は、Primary Gridの変位からReference Gridの変位を差し引いた値です。
Coordinate System:座標系
ユーザーは、変位が参照する座標系(Coordinate System)を指定できます。
Components:成分
利用できるオプション;
・Magnitude :大きさ
・Translation X :X軸並進成分
・Translation Y :Y軸並進成分
・Translation Z :Z軸並進成分
・Rotation X :X軸回転成分
・Rotation Y :Y軸回転成分
・Rotation Z :Z軸回転成分
Reaction Force (SPCF): 反力
Reaction Forceは、指定グリッド(単点または複数点)でのSPC反力です。対応するロードケースの指定が必要です。この応答は、SPC(単点拘束)が与えられた節点についてのみ有効です。
Geometry Selection:ジオメトリ選択
入力範囲は、 節点、頂点、エッジ、サーフェス、ボディです。
2つ以上の節点を選択するか、2つ以上の節点を含むジオメトリを選択すると、応答は複数値になります(グリッドごとに1応答)。
Coordinate System:座標系
ユーザーは、反力が参照する座標系Coordinate Systemを指定できます。
Components:成分
利用できるオプション;
・Magnitude :大きさ
・Translation X :X軸並進成分
・Translation Y :Y軸並進成分
・Translation Z :Z軸並進成分
・Rotation X :X軸回転成分
・Rotation Y :Y軸回転成分
・Rotation Z :Z軸回転成分
Frequency Mode Number (FREQ):周波数モード番号
この応答は、モーダル解析における指定のモード番号の固有周波数です。対応するロードケースの指定が必要です。この応答は、単一のスカラー値です。
構造最適化の過程で材料の分布が変化すると、モード形状が変化(モード番号が移動)することがあります。このような場合は、指定のモードを追跡するMode Tracking (MODTRK):モード追跡を使用できます。
Mode Shape Number (EVECT):モード形状番号
この応答は、モーダル解析の指定のモード番号における固有ベクトルの成分です。対応するロードケースの指定が必要です。
構造最適化の過程で材料の分布が変化すると、モード形状が変化(モード番号が移動)することがあります。このような場合は、指定のモードを追跡するMode Tracking (MODTRK):モード追跡を使用できます。
Geometry Selection:ジオメトリ選択
入力範囲は、 節点、頂点、エッジ、サーフェス、ボディです。
2つ以上の節点を選択するか、2つ以上の節点を含むジオメトリを選択すると、応答は複数値になります(グリッドごとに1応答)。
Remote Point Selection:リモート点選択
リモート点のEigenvector(固有ベクトル)応答も定義できます。リモート点はあらかじめANSYSメカニカルで定義しておきます。
Coordinate System:座標系
固有ベクトルが参照する座標系Coordinate Systemを指定できます。
Components:成分
利用できるオプション;
・Translation X:X軸並進成分
・Translation Y:Y軸並進成分
・Translation Z:Z軸並進成分
・Rotation X :X軸回転成分
・Rotation Y :Y軸回転成分
・Rotation Z :Z軸回転成分
System Inertia (INERTIA): 慣性系
System Inertiaは、モデルの慣性モーメントや重心を応答に指定します。
Components:成分
利用できるオプション;
・Ixx at CG:重心でのX軸回りの慣性モーメント
・Iyy at CG:重心でのY軸回りの慣性モーメント
・Izz at CG:重心でのZ軸回りの慣性モーメント
・Ixy at CG:重心での慣性相乗モーメント
・Iyz at CG:重心での慣性相乗モーメント
・Izx at CG:重心での慣性相乗モーメント
・Principal 1 at CG:重心でのX軸回りの主慣性モーメント
・Principal 2 at CG:重心でのY軸回りの主慣性モーメント
・Principal 3 at CG:重心でのZ軸回りの主慣性モーメント
・Ixx at grdpnt:参照グリッドでのX軸回りの慣性モーメント
・Iyy at grdpnt:参照グリッドでのY軸回りの慣性モーメント
・Izz at grdpnt:参照グリッドでのZ軸回りの慣性モーメント
・Ixy at grdpnt:参照グリッドでの慣性相乗モーメント
・Iyz at grdpnt:参照グリッドでの慣性相乗モーメント
・Izx at grdpnt:参照グリッドでの慣性相乗モーメント
・Principal 1 at grdpnt:参照グリッドでのX軸回りの主慣性モーメント
・Principal 2 at grdpnt:参照グリッドでのY軸回りの主慣性モーメント
・Principal 3 at grdpnt:参照グリッドでのZ軸回りの主慣性モーメント
・Y wrt grdpnt: 参照グリッドに関するY重心
・Z wrt grdpnt: 参照グリッドに関するZ重心
・X wrt grdpnt: 参照グリッドに関するX重心
Reference Grid:参照グリッド
System Inertiaの計算点Reference Gridについては、System Inertia Parameter (GRDPNT):慣性パラメータを参照ください。
Buckling Load Factor (LAMA):座屈荷重係数
Buckling Load Factorは指定のモード番号における、座屈に対する安全率または適用荷重に対する座屈荷重の比率です。対応するロードケースの指定が必要です。応答は単一のスカラー値です。
Mode Number:モード番号
座屈荷重係数のモード番号を指定します。
Contact Clearance (CDISP):接触クリアランス
Contact Clearanceは、指定のサーフェス上のグリッドとその接触サーフェス間の距離です。対応するロードケースの指定が必要です。応答は単一のスカラー値です。
Contact Selection by:接触面の選択
ユーザーは次の2オプションのいずれかで接触面を選択できます。
• 接触テーブル: 表から接触面を選択します
• ジオメトリ選択: ジオメトリのサーフェスを直接選択する
選択面上のすべてのグリッドが接触間隙の計算に使用されます。
応答は複数の値を持ちます (マスター面上の節点毎に一つの値)。
Contact Pressure (CPRESS):接触圧
Contact Pressureは、接触グリッド上の圧力です。対応するロードケースの指定が必要です。
Contact Selection ジオメトリ選択
ユーザーは次の2オプションで接触面を選択できます。
• 接触テーブル: 表から接触面を選択します
• ジオメトリ選択: ジオメトリのサーフェスを直接選択する
選択面上のすべてのグリッドが接触圧の計算に使用されます。応答は複数の値を持ちます (マスター面上の節点毎 に一つの値)。
Stress (STRESS): 応力
静的ロードケースのElement Stress:要素応力です。この応答は、対応するロードケースの指定が必要です。
Geometry Selection:ジオメトリ選択
入力範囲は、要素、サーフェス、ボディです。
2つ以上の要素を選択するか、2つ以上の要素を含むジオメトリを選択した場合、応答は複数の値を持ちます(各要素に1つの値)。
Component:成分
利用できるオプションは、次の通りです。
・von-Mises:フォン・ミーゼス応力
・Major Principle:最大主応力
・Minor Principle:最小主応力
・Intermediate Principle中間主応力
・Normal X:垂直応力X方向
・Normal Y:垂直応力Y方向
・Normal Z:垂直応力Z方向
・Shear XY:せん断応力XY成分
・Shear YZ:せん断応力YZ成分
・Shear ZX:せん断応力ZX成分
Grid Stress (GSTRESS):節点応力
静的ロードケースのGrid Stress:節点応力です。この応答では対応するロードケースの指定が必要です。
Geometry Selection:ジオメトリ選択
入力範囲は、頂点、辺、サーフェス、ボディです。
2つ以上のグリッドを選択するか、2つ以上のグリッドを含むジオメトリを選択した場合、応答は複数の値を持ちます(各節点に1つの値)。
Component:成分
利用できるオプションは、次の通りです。
・von-Mises:フォン・ミーゼス応力
・Major Principle:最大主応力
・Minor Principle:最小主応力
・Intermediate Principle中間主応力
・Normal X:垂直応力X方向
・Normal Y:垂直応力Y方向
・Normal Z:垂直応力Z方向
・Shear XY:せん断応力XY成分
・Shear YZ:せん断応力XY成分
・Shear ZX:せん断応力ZX成分
Strain (STRAIN):ひずみ
静的ロードケースのElement Strain:要素ひずみです。この応答では対応するロードケースの指定が必要です。
Geometry Selection:ジオメトリ選択
要素、サーフェス、ボディを指定できます。
2つ以上の要素を選択するか、2つ以上の要素を含むジオメトリが選択された場合、応答は複数の値を持ちます(要素ごとに1つの値)。
Component:成分
利用できるオプションは次の通りです。
・von-Mises:フォン・ミーゼスひずみ
・Major Principle:最大主ひずみ
・Minor Principle:最小主ひずみ
・Intermediate Principle:中間主ひずみ
・Normal X:垂直ひずみX方向
・Normal Y:垂直ひずみY方向
・Normal Z:垂直ひずみZ方向
・Shear XY:せん断ひずみXY成分
・Shear YZ:せん断ひずみYZ成分
・Shear ZX:せん断ひずみZX成分
Von-mises Index (VMINDEX):フォン・ミーゼス指数
静的ロードケースのGlobal von-mises Index応答です。対応するロードケースの指定が必要です。
この応答は一般に制約として使用します。制約の上限は通常1.0に設定します。この制約は材料特性 (等方性材料) で定義された降伏強度をもつすべてのボディ/パーツに適用されます。そしてvon Mises応力値が降伏強度を超えないように制約します。この応答は、要素群の最大von Mises応力を計算するのに近似方式を使用します。モデル全体の応力レベルをコントロールする効率的な方法です。ただしvon Mises Index応答値は、降伏強度限界に対して線形に比例しません。次の事項を参考にしてください。
• VMINDEX>1.0の場合、一部の要素のvon Mises応力が降伏強度よりも大幅に高いか、von Misesが降伏強度よりも若干高い要素が多数存在します
• VMINDEX<1.0の場合、すべての要素のvon Mises応力が降伏強度未満であるとは限りませんが、違反している要素の数は要素の総数のごく一部です
そこで目標強度を材料プロパティの降伏強度で設定し、そしてVMINDEX応答の上限1.0に設定するようにしてください。なお、VMINDEX 推定は、ソリッド要素では正確ですが、1 次元要素、2 次元要素では精度が低下します。
Dynamic Displacement (DDISP, MDISP, PSDDISP or RMSDISP) :動的変位
Dynamic Displacementは、周波数応答解析またはランダム応答解析が計算する変位です。
Response From:動的応答の解法
Direct (DDISP):応答は直接法周波数応答解析で計算されます。応答は指定節点における複数(周波数出力点の数)の値を持ちます。
Modal (MDISP):応答はモード法周波数応答解析で計算されます。応答は指定節点における複数(周波数出力点の数)の値を持ちます。
Random RMS (RMSDISP):応答はランダム応答解析で計算されます。ランダム応答量の二乗平均平方根(Root Mean Square:RMS)で、ランダム応答量の平均値を表します。応答は指定節点に対する単一なスカラー値です。
Random PSD (PSDDISP):応答はランダム応答解析で計算されます。Random PSDは、各周波数の発生頻度を表すパワースペクトル密度関数(Power Spectral Density:PSD)の出力で、エネルギーの大部分がどの周波数に集中しているかの大きさを示す応答です。この応答は指定の節点について複数の値(周波数出力点の数)を持ちます。
Geometry Selection:ジオメトリ選択
入力範囲は、節点、頂点、エッジ、サーフェス、ボディまたはリモート点です。2つ以上の節点を選択するか、2つ以上の節点を含むエッジ、サーフェス、ボディを選択した場合、応答は次のようになります。
・DirectまたはModalからの応答の場合、応答は指定の各節点の各周波数出力点での変位値をもつベクトル値
・Random RMSからの応答の場合、指定の各節点のRMS値をもつベクトル値
・Random PSDからの応答の場合、指定の各節点の周波数出力点でのPSD出力をもつベクトル値
Coordinate System:座標系
ユーザーは、変位に対する参照座標系を指定できます。
Components:成分
利用できるオプション;
・Translation X:X軸並進
・Translation Y:Y軸並進
・Translation Z:Z軸並進
・Rotation X :X軸回転
・Rotation Y :Y軸回転
・Rotation Z :Z軸回転
Item for Resonance:共振項目
利用できるオプション;
・Highest Peak:極大値
・Lowest Anti-Peak:極小値
・First peak:1次共振
・First Anti-Peak:1次反共振
Dynamic Velocity (DVELO, MVELO, PSDVELO or RMSVELO): 速度
Dynamic Velocityは、周波数応答解析またはランダム応答解析が計算する速度です。
Response From:動的応答の解法
Direct (DVELO):応答は直接法周波数応答解析で計算されます。応答は指定節点について複数の値(周波数出力点につき1変位)を持ちます。
Modal (MVELO):応答はモーダル法周波数応答解析で計算されます。応答は指定節点について複数の値(周波数出力点につき1変位)を持ちます。
Random RMS (RMSVELO):応答はランダム応答解析で計算されます。Random RMSは、ランダム応答量の二乗平均平方根(Root Mean Square:RMS)で、ランダム応答量の平均値を表します。指定節点に対する単一なスカラー値です。
Random PSD (PSDVELO):応答はランダム応答解析で計算されます。Random PSDは、各周波数の発生頻度を表すパワースペクトル密度関数(Power Spectral Density:PSD)の出力で、エネルギーの大部分がどの周波数に集中しているかの大きさを示す応答です。この応答は指定の節点について複数の値(周波数出力点の数)を持ちます。
Geometry Selection:ジオメトリ選択
入力範囲は、節点、頂点、エッジ、サーフェス、ボディまたはリモート点です。2つ以上の節点を選択するか、2つ以上の節点を含むエッジ、サーフェス、ボディを選択した場合、応答は次のようになります。
・DirectまたはModalからの応答の場合、応答は指定の各節点の各周波数出力点での変位値をもつベクトル値
・Random RMSからの応答の場合、指定の各節点のRMS値をもつベクトル値
・Random PSDからの応答の場合、指定の各節点の周波数出力点でのPSD出力をもつベクトル値
Coordinate System:座標系
ユーザーは、速度のための参照座標系を指定できます。
Components:成分
利用できるオプション;
・Translation X:X軸並進
・Translation Y:Y軸並進
・Translation Z:Z軸並進
・Rotation X :X軸回転
・Rotation Y :Y軸回転
・Rotation Z :Z軸回転
Item for Resonance:共振項目
利用できるオプション;
・Highest Peak:極大値
・Lowest Anti-Peak:極小値
・First peak:1次共振
・First Anti-Peak:1次反共振
Dynamic Acceleration (DACCE, MACCE, PSDACCE or RMSACCE): 加速度
Dynamic Accelerationは、周波数応答解析またはランダム応答解析が計算する加速度です。
Response From:動的応答の解法
Direct (DACCE):応答は直接法周波数応答解析で計算されます。応答は指定のノードについて複数の値(周波数出力点につき1変位)を持ちます。
Modal (MACCE):応答はモーダル周波数応答解析で計算されます。応答は指定のノードについて複数の値(周波数出力点につき1変位)を持ちます。
Random RMS (RMSACCE):応答はランダム応答解析で計算されます。Random RMSは、ランダム応答量の二乗平均平方根(Root Mean Square:RMS)で、ランダム応答量の平均値を表します。値は、指定節点対し単一なスカラー値です。
Random PSD (PSDACCE):応答は、ランダム応答解析で計算されます。Random PSDは、各周波数値で評価されたパワースペクトル密度(Power Spectral Density:PSD)関数の出力で、エネルギーの大部分がどの周波数に集中しているかの大きさを示す応答です。この応答は、指定のノードについて複数の値(周波数出力点につき1変位)を持ちます。
Geometry Selection:ジオメトリ選択
入力範囲は、節点、頂点、エッジ、サーフェス、ボディまたはリモート点です。2つ以上の節点を選択するか、2つ以上の節点を含むエッジ、サーフェス、ボディを選択した場合、応答は次のようになります。
・DirectまたはModalからの応答の場合、応答は指定の各節点の各周波数出力点での変位値をもつベクトル値
・Random RMSからの応答の場合、指定の各節点のRMS値をもつベクトル値
・Random PSDからの応答の場合、指定の各節点の周波数出力点でのPSD出力をもつベクトル値
Coordinate System:座標系
ユーザーは、加速度のための参照座標系を指定できます。
Components:成分
利用できるオプション;
・Translation X:X軸並進
・Translation Y:Y軸並進
・Translation Z:Z軸並進
・Rotation X :X軸回転
・Rotation Y :Y軸回転
・Rotation Z :Z軸回転
Item for Resonance:共振項目
利用できるオプション;
・Highest Peak:極大値
・Lowest Anti-Peak:極小値
・First peak:1次共振
・First Anti-Peak:1次反共振
Dynamic Stress (DSTRESS, RMSSTR, PSDSTR): 動的応力
Dynamic Stressは、周波数応答解析またはランダム応答解析で計算される要素応力です。対応するロードケースを指定します。
Response From:動的応答の解法
DirectおよびModal (DSTRESS):応答は直接法周波数応答解析で計算されます。応答は指定のノードについて複数の値(周波数出力点につき1変位)を持ちます。
Random RMS (RMSSTR):応答はランダム応答解析で計算されます。Random RMSはランダム応答量の二乗平均平方根(Root Mean Square:RMS)です。ランダム応答量の平均値を表します。値は、指定節点対し単一なスカラー値です。
Random PSD (PSDSTR):応答はランダム応答解析で計算されます。Random PSDは各周波数値で評価されたパワースペクトル密度(Power Spectral Density:PSD)関数の出力で、エネルギーの大部分がどの周波数に集中しているかの大きさを示す応答です。応答は、指定のノードについて複数の値(周波数出力点につき1変位)を持ちます。
Geometry Selection:ジオメトリ選択
入力範囲は、要素、サーフェス、ボディを指定です。応答は、指定要素に対し複数の値(周波数出力点につき一つの応力値)を持ちます。
Components:成分
次のオプションを利用できます。
・von-Mises:フォン・ミーゼス応力(RMSのみ)
・Normal X:垂直応力X方向
・Normal Y:垂直応力Y方向
・Normal Z:垂直応力Z方向
・Shear XY:せん断応力XY成分
・Shear YZ:せん断応力YZ成分
・Shear ZX:せん断応力ZX成分
Dynamic Grid Stress (DGSTRESS): 動的節点応力
Dynamic Grid Stressは、動的ロードケースでの節点応力です。対応するロードケースを指定します。
Geometry Selection:ジオメトリ選択
入力範囲は、頂点、エッジ、サーフェス、ボディを指定です。応答は、指定グリッドに対して複数の値(周波数出力点につき一つの応力値)を持ちます。
Components:成分
利用できるオプション;
・Normal X:垂直応力X方向
・Normal Y:垂直応力Y方向
・Normal Z:垂直応力Z方向
・Shear XY:せん断応力XY成分
・Shear YZ:せん断応力YZ成分
・Shear ZX:せん断応力ZX成分
Equivalent Radiated Power (ERP):等価放射パワー
NVH解析では、筐体構造の振動から音響流体(空間)へ放射されるノイズを計算することが望まれます。音響流体へ放射する音圧は、構造と流体の境界における速度と圧力を計算するため構造と音響の連成問題を用いて決定されます。等価放射パワー計算は、構造と流体の境界における圧力は法線方向速度と流体密度さらに流体内の音速を乗じることに等しいと仮定すると、それは非連成の構造問題を用いて音圧の評価を可能にします。
指定の構造パネルに対する等価放射パワーは次式で計算されます。
ここで、ρは流体密度、cは流体内の音速、vnは構造パネルに垂直な速度の成分、Aはパネル面積です。*は複素共役演算子です。なおERPは、加振周波数Ωの陰関数であることを注記します。
ERP Panels (ERPPNL):ERPパネル
ERP PanelsはERP計算するパネルを定義するために使用します。ERPパネルはシェル要素の集合です。GSAMでERPパネル定義するには面の存在が前提となります。ジオメトリがシェル・モデルの場合は、ERPパネルの定義に対象面にあるシェル要素が用いられます。またジオメトリがソリッドモデルの場合は、指定面と節点共有する薄肉シェル要素が自動生成されERPパネルの定義に用いられます。シェル要素厚のデフォルトは0.01です。
ERP Parameters:ERPパラメータ
GENESISは各パネルのERPを次のように計算します。
ここで、vnはパネルの各グリッドでの速度の法線成分、Aeは各グリッドの有効パネル面積です。ユーザーは上式のパラメータの値を、GENESISの解析設定の詳細で設定する必要があります。
・Radiation Loss Factor (ERPRLF)
・Fluid Density (ERPRHO)
・Speed of Sound of the Fluid (ERPC)
ERP Value:ERP値
利用できるオプション;
・スタンダード
・デシベル
多くの場合、デシベルを用いて音圧値を検討するのが便利です。 GENESISは、次のようにデシベルで ERP を計算します。
ユーザーは上式のパラメータの値を、GENESISの解析設定の詳細で設定する必要があります。
・Decibel Scale Factor (RHOCP)
・Decibel Reference Value (ERPREFDB)
Geometry Selection:ジオメトリ選択
入力範囲はサーフェスです。応答は指定のサーフェス・パネルについて複数の値を持ちます(加振周波数の各出力点に対し一つのERP値)。
TSELECT:トポロジー
TSELECT は、設計領域の体積分率の値です。
TSELECT は制約にのみ使用できます。同制約を用いることで、トポロジ密度をより二極化できる場合があります。
Region:領域
Selected Groups:設計領域を指定する
このオプションは、選択したトポロジー設計領域に対してTSELECT制約を定義します。
All Design Groups:全ての設計領域を指定する
このオプションは、全てのトポロジー設計領域に対してTSELECT制約を定義します。
Geometry Selection:ジオメトリ選択
入力範囲はボディです。
Bound Type (BTYPE):境界タイプ
UpperかExactのどちらかです。
BTYPE=ExactとしたTSELECT入力は、トポロジー設計変数(Xi)を使用し、以下のような2つの制約を内部生成します。この制約により、指定割合の設計変数の値は上限へ、残りは下限または0.0へ移動されます。FRACTは上限に移動する必要があるトポロジー設計変数の割合をコントロールします。
G>FRACT-TOL
G<FRACT+TOL
ただしG=((X1-LB1)/(UB1-LB1) + (X2-LB2)/(UB2-LB2) + . . . +(XN-LBN)/(UBN-LBN))/N 。
BTYPE=UpperとしたTSELECT入力は、Gが指定の割合を超えないよう次のような内部的な制約を一つ生成します。G<=FRACT+TOL
Fraction (FRACT):割合
選択される設計変数の割合で、0.0から1.0の間の実数値です。
Fraction値は通常、mass fraction(質量分率)制約の上限値か、ユーザーが保持したい材料の分率です。
Tolerance (TOL):許容値
選択制約を満足するための許容値です。デフォルトは0.005です。
Temperature (TEMP):温度
Temperatureは、熱ロードケースの応答です。この応答では対応するロードケースを指定する必要があります。
Geometry Selection:ジオメトリ選択
入力範囲は、グリッド、頂点、サーフェス、ボディです。
2つ以上のグリッドを選択するか、2つ以上のグリッドを含むジオメトリが選択された場合は、応答は複数の値となります(グリッド毎に一つの温度値)。
Heat Transfer Compliance (HTC):熱伝導コンプライアンス
熱ロードケースでは、Heat Transfer Compliance (HTC)は、\(HTC=1/2[T]^T[F] \)として定義されます。
ここで{T}はグリッド温度のベクトル、{F}は適用した熱流束のベクトルです。
HTCを最小化すると、熱流束を与えたグリッドの温度が最小化されます。この応答は対応するロードケースを指定する必要があります。
Transient Temperature (TTEMP):非定常温度
Transient Temperatureは非定常熱ロードケースの応答です。この応答は対応するロードケースを指定する必要があります。
Geometry Selection:ジオメトリ選択
入力範囲は、グリッド、頂点、サーフェス、ボディです。2つ以上のグリッドを選択するか、2つ以上のグリッドを含むジオメトリが選択された場合は、応答は複数の値となります(グリッド毎に一つの温度値)。
Fatigue Response(FATIGUE/GFATIGUE):疲労応答
Fatigue Damage/Life/Factor of Safety (FATIGUE)またはGrid Fatigue Damage/Life/Factor of Safety (GFATIGUE) の2タイプは、疲労解析で利用できる応答です。
Fatigue Analysis:疲労解析
疲労による損傷は構造破壊の一般的な原因であり、繰り返しまたは繰り返しの荷重に関連しています。疲労は通常、高サイクル疲労と低サイクル疲労の 2つのカテゴリに分けられます。高サイクル疲労は、サイクル数が多いが応力が材料の極限強度に比べて低い場合に発生します。低サイクル疲労は、サイクル数が比較的少なく、塑性変形が発生し、寿命が大幅に低下する可能性がある場合です。
疲労解析は、応力寿命(SN)またはひずみ寿命(EN)ののいずれかに従います。応力-寿命法は、応力レベルがほぼ弾性範囲にある高サイクル疲労に適しています。ひずみ寿命法は、塑性が損傷評価の重要な要素として考慮される低サイクル疲労に適しています。
Fatigue Life Estimation Process:疲労寿命評価プロセス
疲労寿命の推定プロセスのステップは下図の通りです。
• 最初のステップは荷重環境に基づいて構造内の応力またはひずみを見つけることです。 応力またはひずみは、線形弾性有限要素解析によって決定されます。疲労計算が実行される領域は、Fatigue Region (FTLDEF) によって定義されます。
•次のステップは、FE結果とFatigue Sequence (FTLSEQ)、Fatigue Event (FTLEVNT)、Fatigue Load (FTLOAD)、およびload history table data (TABFTL)によって定義された荷重履歴データに基づいて、応力テンソル履歴を作成することです。異なる荷重ケースからの応力テンソルは、線形重ね合わせを使用して結合されます。
•応力テンソルの履歴は、疲労パラメータ (FTLPARM) で定義された応力組み合わせ法を使用して、単一のスカラー値になります。
• 応力範囲(振幅)と対応するサイクル数を決定するために、レインフローサイクルカウントを実行します。
• 平均応力、可塑性、表面仕上げなどの補正が適用されます。
• 最後に疲労曲線を調べて疲労寿命を決定し、線形累積損傷則に基づいて損傷を合計します。
Fatigue Analysis Definition:疲労解析定義
GSAM/GTAMでは、疲労解析を定義するための入力オブジェクトとして、Fatigue Loading(), Fatigue Event(), Fatigue Sequence(), Fatigue Region(), Fatigue Parameters(), Fatigue LoadCase()があります。以下、順に説明します。
Fatigue Loading (FTLOAD and TABFTL) :疲労荷重
このデータは、疲労解析の荷重を定義します。疲労荷重オブジェクトには、次の3つ項目があります。
Load History (TID)
荷重履歴は、表またはファイルを介して定義できます。ファイル形式は、すべての荷重履歴点を含む1つの列にすることも、インデックスと対応する値を含む 2つの列にすることもできます。
Loadcase (LCID)
対応する静的ロードケースの選択
Load Modification:負荷の変更
適用荷重の最大値(LDM)。デフォルト= 1.0
スケール係数 (SCALE)適用する荷重履歴。デフォルト= 1.0
荷重履歴に適用するオフセット(OFFSET)。デフォルト= 0.0
次式に示すようにLDM、SCALEおよびOFFSEを使用して、応力値をスケーリングまたは変更し、結果の応力時間変動を決定します。
ここでσij(t)は時間tにおける結果の応力テンソル、σij,lはLCIDフィールドで定義された荷重ケースからの応力テンソル、P(t)はTIDフィールドで定義された時間tでの荷重履歴のy値です。 複数の負荷がある場合、線形置換を使用してすべての負荷を1つのイベントに結合します。
Fatigue Event (FTLEVNT):疲労イベント
このデータは、同時に適用される疲労荷重 (FTLOAD) のグループで荷重イベントを定義します。 ユーザーは、荷重イベントの疲労荷重 (FTLOAD) を指定する必要があります。これらの疲労負荷は同時に発生します。
Fatigue Sequence (FTLSEQ):疲労シーケンス
このデータは、疲労負荷シーケンス (FTLSEQ) を定義します。
ユーザーは、荷重シーケンスの疲労イベント(FTLEVNT) を指定する必要があります。これらの疲労イベントは連続して発生します。
Fatigue Region Definition (FTLDEF and PFTL):疲労領域定義
このデータは、疲労解析で使用する要素および関連する疲労特性を定義します。
疲労解析に使用する要素を定義するには2つのオプションがあります。 デフォルトでは、疲労材料が定義されているすべての要素が疲労解析に使用されますが、ユーザーはボディ/パーツ/要素を疲労計算領域として選択できます。 疲労計算は、定義された領域内のシェル要素とソリッド要素に対してのみ実行されます。
疲労特性 (PFTL) は、FTLDEF入力によって参照されます。疲労特性には次のものがあります。
• Surface finish:加工結果表面粗さ
• Surface treatment:疲労寿命向上のための表面処理
• 疲労強度低減係数: この係数は、ノッチ効果、寸法効果、荷重タイプの影響を考慮に入れることができます
材料特性を変更することで疲労強度の低減補正とともに表面仕上げおよび表面処理が課されます。
これは、S-N カーブの傾きまたは E-N カーブの耐久限界での弾性線の傾きを変更することによって適用されます。適用される係数は次のように計算されます。
疲労特性において、ユーザーはシェル要素の応力計算位置も指定できます:「MAX」、「TOP」、「BOTTOM」のいずれか。デフォルトはMAXです。
Fatigue Parameters (FTLPARM):疲労パラメータ
このデータは、疲労解析パラメータの値を指定します。パラメータは以下のとおりです。
Type: 疲労解析タイプ
応力寿命(SN)またはひずみ寿命(EN)。
Stress Combination: 疲労解析で使用する応力組み合わせ法。
これには、Absolute Max Principal (ABSMAXPR), Max Principal (MAXPRINC), Signed Von Mises (SGVON), Von Mises (VONMISES), Signed Max Shear (SGMAXSHR) or Max Shear (MAXSHR).が含まれます。脆性材料にはABSMAXPRが、延性材料にはSGVONが適します。
Mean Stress Correction:疲労解析の平均応力補正方法。
応力-寿命解析の場合、平均応力補正は、”GOODMAN”、”GERBER”、”SODERBE”、”GDMANT”、”GRBERT”または”SODERBET”、GDMANT、GRBERTとなり、SODERBETは、負の平均応力の影響を無視します。ひずみ‐寿命解析の場合、平均応力補正方法は”SWT”または”MORROW”です。デフォルトは”None” (補正なし)。
Plasticity Correction:塑性補正
これはひずみ-寿命解析用です。値は”NONE”または”NEUBER”のいずれかです。デフォルトはNEUBERです。
Location to report fatigue results:疲労結果の出力位置
“NODE” または “ELEMENT”。デフォルトは”ELEMENT”。
Rainflow Type (RTYPE): レインフローデータ低減法
“LOAD” または “STRESS”). デフォルトは“LOAD”。
LOADは荷重履歴用、STRESSは応力履歴用です。RTYPE = LOADの場合、荷重履歴はレインフローカウント法を使用してサイクル カウントされます。
RTYPE = LOADは、イベントで定義された静的荷重ケースが1つだけの場合に有効です。RTYPE = STRESSの場合、応力履歴はレインフローカウント法を使用してサイクルカウントされます。応力履歴の長さは荷重履歴の長さと同じであり、応力履歴の各ポイントは、荷重履歴のy値によってスケーリングされた応力テンソルで組み合された応力値です。複数のロードケースがある場合、RTYPEは自動的にSTRESSに切り替えられます。
Gate Relative Fraction (GATEREL):
最大ゲート範囲の相対比率 (実数≧0.0)。参照値はGATERELが掛けられた最大振幅であり、解析を高速化するためにピークバレー抽出法を用い、時間履歴のノイズの小さな乱れを削除するために使用されます。デフォルトは、0.0。
Bin Size:離散化のビンサイズ (整数 >0) 。
デフォルトは32。レインフローカウントの一ステップは離散化です。ビンサイズは、荷重履歴または応力履歴のy値を個別のビンに分割するために使用されます。各ビンには固定振幅があり、データは各ビンにマップされます。
Certainty of survival:
S-NまたはE-N曲線の分散に基づく生存率(0.0 <実数<1.0)。デフォルトは0.5。
Design Life (DLIFE): 設計寿命係数(実数> 0.0) 。
デフォルトは1.0。損傷は、使用可能な寿命に対する DLIFE比率として計算されます。安全率計算の場合、設計寿命は、応力/荷重値を掛けることによって達成目標として使用されます。
Factor of Safety Calculation (FOS):安全率計算
安全率解析であるかどうかを示すフラグ。オプションは、YesまたはNo.
FOSは設計全体の安全率の一種です。FOS計算は通常の疲労寿命/損傷計算のコンポーネントに追加され、無限寿命の予測に有用で、疲労破壊のリスクの大きさを提供します。この解析の結果は荷重/応力による率です。それは指定の設計寿命を達成するのに調整する必要があるでしょう。
Fatigue LoadCase:疲労ロードケース
Fatigue LoadCaseの定義には、3つのデータFTLDEF, FTLSEQ, FTLPARMが必須です。FTLSEQはFTLEVNTを参照します。. FTLEVNTはFTLOADとTABFTLを参照します。FTLDEFはPFTLを参照します。疲労結果はDAMAGE/LIFE/Factor of Safetyで要求できます。
GENESIS計算入出力ファイル
GENESIS解析・設計ファイル一覧
ファイル内容 | ファイルの発生 | ファイル名 |
---|---|---|
入力データ | 必須入力 | genesis.dat |
出力データ | 自動出力 | genesis.out |
計算ログ | 自動出力 | genesis.log |
解析ポスト ファイル | ユーザーリクエスト時出力 | genesisxx.ext |
最適化履歴 ファイル | 自動出力 | genesis.HIS |
リスタート情報 ファイル | 自動出力 | genesis.RST |
最適化経過グラフ ファイル | 自動出力 | genesis.html |
トポロジー密度 ファイル | 自動出力 | genesisDENSxx.ext |
ext=op2またはpch
※GSAMが生成する入力ファイル名のデフォルトは「genesis.dat」です。
プログラム出力 (pname.out)
計算結果は、入力ファイルと同じファイル名で拡張子が”.out”の出力ファイルに出力されます。GENESISがエラーで停止した場合は、詳細なエラーメッセージが出力ファイルに書き記されます。出力ファイルには、以下で説明する4つのセクションがあります。
またGENESISは出力ファイルに加えて、ログ・ファイル(pname.log)を生成します。このファイルには、システム環境に関する状態、画面に表示される全てのメッセージが含まれます。また、GENESISの開始・終了時刻も書き込まれ、この情報を元に、実行時間が計算されます。
Model Summary:モデル概要
このセクションには、解析モデルデータ、最適化問題の大きさ、ロードケースの概要などの情報が記録されます。解析モデルデータは、節点数。要素数、自由度数などからなっています。ロードケースの概要は、境界条件の種類とロードケース数の要約からなっています。
Design Result:設計結果
このセクションには、各設計変数の値、解析モデルの各部寸法、各最適化サイクルでの制約応答の残差などのデータが含まれます。
Convergence Information:収束情報
このセクションには、収束状況についての情報が含まれます。
Design Cycle History:設計サイクル履歴
このセクションには、各サイクルでの最大制約違反を含む目的関数履歴のテーブルが含まれます。設計変数値の履歴も含まれています。このセクションが、1サイクル・ランの最後のセクションです。
解析ポストファイル(pname.pch or pname.op2)
解析ポストファイルには変位、速度、加速度、応力、ひずみ、振動モード、その他のGENESIS計算結果を表示するために必要なデータが記録されています。出力要求に従い、サイクル別のファイルが生成されます。出力要求のなかったサイクルでは、ファイルは生成されません。
出力フォーマットは、OUTPUT2(binary)フォーマットまたはPUNCH(ASCII)フォーマットです。現在のGSAMはPUNCHフォーマットのみサポートします。
解析ポストファイルのファイル名は、pnamexx.extです。ここで、pnameは入力ファイル名、xxは設計サイクル番号、extはOUTPUT2フォーマットの場合はop2、PUNCHフォーマットの場合はpchです。
設計ヒストリーファイル(pname.HIS)
このファイルの名前はpname.hisであり、設計サイクル履歴を含みます。各設計サイクルの目的関数、最大制約違反、設計変数値で構成されています。このファイルは、指定書式で読み取り可能なファイルであり、目的関数や設計変数の履歴プロットの作成に使用できます。このファイルは、最適化計算のリスタートにも利用されます。
詳細については、8.2Analysis ControlのRestart Optimization:最適化のリスタートを参照してください。このファイルの最終行には、完了コードおよびエラーと警告の数が記録されます。終了コードは、エラーの場合は2、警告だけの場合は1、その他の場合は0が記録されます。
トポロジー密度ファイル(pnameDENSxx.ext)
要素のトポロジー設計変数値(トポロジー密度)は、任意でポストファイルpnameDENSxx.extに出力できます。ここでpnameは入力ファイル名、xxは設計サイクル数、extはOUTPUT2フォーマット(binary)の場合op2、PUNCHフォーマット(ASCII)の場合pchです。現在のGSAMはPUNCHフォーマットのみサポートします。
トポロジー結果のポスト処理
最適化結果を表示するには、メニューのTopology Density Plot ()とTopology Density Isosurface Plot ()を使用します。また、最適化形状における変形を見るために、Show Deformed Model ()を追加することもできます。
Topology Density Plot
Topology Density Plotは要素の密度値を表示します。それは各要素のトポロジー設計変数値(体積分率)です。値の範囲は、0.0~1.0 です。0.0に近い値は要素を取り去るべきであることを意味し、1.0に近い値は要素を保持すべきであることを意味します。一般には中間の密度値を持つ多くの要素が存在します。
Topology Density Isosurface Plot
Topology Density Isosurface Plotは、指定の底面カットオフ値に対する密度の等値面(Isosurface)を描きます。底面カットオフ値はトポロジー密度の等値面を構築するために用いられます。等値面は、カットオフ値に等しい要素密度のモデル部位を通り、カットオフ値よりも大きな密度の領域を閉じるように生成されます。
底面カットオフ値を指定するには、ANSYSメカニカルのキャップドアイソサーフェスを有効化してください。
・結果ツールバーから、キャップドアイソサーフェスを選択します
・底面カットオフを選択し、値を入力するかスライドバーで調整します
トポロジー設計の場合、一般にトポロジー最適化結果での要素の密度は、0.0と1.0間の中間的な密度値の要素が多数存在します。そこでユーザーは、トポロジー結果のどの要素を含むべきかを決定するためにスライドバーを調整します。
※底面カットオフ値はモデル要素のmass fraction(質量分率)データ値を変えていません。カットオフ値はトポロジー結果の表示にどの要素を含めるかを決めているだけです(カットオフ値よりも低い密度値の要素が表示の際に省かれます)。
Show Deformed Model:変形モデルの表示
ツリーにShow Deformed Model ()を追加することで、トポロジー結果と同時に変形モデルをみることができます。
変形モデルの表示には、使用するロードケースを指定する必要がります。
※複数ロードケースの場合、一度に見ることのできる変形図は一つのロードケースに限られます。別のロードケースの変形モデルを見るときは、ロードケースを変更後、「すべての結果を評価」で再読み込みする必要があります。
体積分率の算出
Estimate Enclosed Volume for Isosurface ()を使用し、等値面で閉じられた領域の体積分率を算出できます。
はじめにTopology Density Isosurface Plotを表示することでカットオフ値を定めます。その後上記ボタンをクリックすると、計算された体積分率がメッセージ・ウィンドウに表示されます。
推奨
Mesh:メッシュ
1次要素 vs. 2次要素
ANSYSメッシャはデフォルトで二次要素を使用します。二次要素は、一次要素よりも精度よい解析結果を与えてくれるからですが、メッシュが低解像度の場合、二次要素はトポロジー設計の精度にあまり貢献しません。二次要素の粗いメッシュよりも一次要素の密なメッシュの方が適します。トポロジーは、要素に連携する設計変数を生成するため、要素数を増やすと設計変数も増えます。つまり要素数を増やすと、トポロジー設計の自由度(形状の解像度)が高まります。
同形要素
トポロジー設計には、モデル全体で要素サイズ、形状が同じメッシュが適します。ANSYS Mechanicalの断面表示機能を用い、モデル内部のメッシュ品質をチェックするようにしてください。