形状最適化原理
形状最適化原理を参照ください。
設計領域と摂動の定義
Shape Morphing Sets (DSHAPE)オブジェクト()は、設計領域を指定し、その領域のグリッドに摂動を定義するために使用します。設計領域に製造制約を課すことができます。
詳細を以下のセクションで説明します。
Design Region Definition:設計領域定義
Design Regionは、フリーフォーム設計領域を指定します。現在のGSAMは、グリッドまたは面をフリーフォーム設計領域として選択できます。複数の面を選択し、1つの設計領域として定義できます。
一つの形状モーフィング設定で複数のサーフェスを選択する場合、それらの面のグリッドは一つのグループに連結されます。製造制約はサーフェスではなくグリッドのグループに適用されます。
設計領域として選択されていない面は、フリーフォーム最適化によって設計も変更もされません。
Perturbation:摂動
Perturbationは、グリッド点での摂動タイプと摂動量を定義します。摂動方向は、選択面の法線方向か、ユーザーが指定する方向です。
Type (FTYPE):タイプ
これは、Shape Morphing Setsのタイプを指定します。現在は、Raw Morphing Sets(DVGRID)のみが指定できます。Raw Morphing Setsの場合、摂動は節点に直接定義されます。
Freeform (SPLIT):フリーフォーム
このオプションでYESを選択すると、Shape Morphing Sets内のグリッドが独立に設計されます。
Noを選択すると、Shape Morphing Sets内の全節点が同じ摂動量を持ちます。
Design Variable Creation (DVARs):設計変数生成
このオプションでYESを選択すると、一つ設計変数が全ての選択サーフェスをコントロールします。Freeformを使用する場合、全選択面に対して一つのDSHAPEデータが生成されます。
Noを選択すると、サーフェスごとに一つの設計変数でコントロールされます。Freeformを使用する場合、サーフェスごとに一つのDSHAPEデータが生成されます。
Perturbation Direction:摂動方向
グリッドでの摂動方向は次の方法で定義できます
・サーフェスを選択する(面の法線方向が摂動方向)
・成分で定義する
ユーザーは、参照座標系とX,Y,Z成分を指定する必要があります
Perturbation (COEFF in DVGRID) :摂動(DVGRIDの係数)
これは、形状最適化原理で述べた摂動の大きさ計算するために設計変数に乗じる係数です。
Edge Grid Design
これは、Shape Morphing Sets(設計領域)のエッジ上のグリッドを設計するかどうかを指定します。利用できるオプションは次の通りです。
・Skip Edges:デフォルト
エッジ上のグリッドを設計しない
・Design Edges
エッジ上のグリッドを設計する
・Skip Selected Edges
ユーザーが設計から除外するエッジ(グリッド)を指定する
設計領域と非設計領域がエッジ上のグリッドを共有しない場合、Skip Edgesの使用を推奨します。例えば、設計領域と非設計領域が、接触で結合されている場合です。
フリーフォーム設計領域メッシュの「エッジ」とは
フリーフォーム設計領域のエッジとは、選択したサーフェスパート群の外郭エッジのことです。選択パート間のエッジは、領域内に在りますので領域境界のエッジではありません。
設計変数
Design Variables (DVAR): 設計変数
プログラムは、フリーフォーム最適のための設計変数を自動生成します。設計変数は、グリッドの実際の摂動量を得るための倍率として作用します。その値は、設計変数をDViとすると、摂動量はDVi*Maximum_perturbationで計算されます。
Design Variable Initial Value(INIT):設計変数初期値
デフォルト値は、0.0です。これは、元形状からデザインが開始されることに相当します。
Design Variable Bound (LB、UB) :設計変数境界
ユーザーは、設計変数の境界をコントロールできます。境界値のデフォルト値は[-1,1]です。
グリッドをサーフェスの一方の側にだけ移動させたい場合は、LB=0.0またはUB=0.0のどちらかを使用します。
Initial Randomness (RINT):初期乱数
Initial Randomness(RINIT)パラメータは、設計変数初期値に擾乱を設定するために使用します。
RINITには、0.0または0.0よりも大きな値を指定します。
RINTのデフォルト値は0.0です。これはINIT値に初期擾乱を加えません。
RINIT>0.0の場合、擾乱の相対範囲を定義します。RINTの値を大きくすると、INIT値に加えられる擾乱は大きくなります。
Initial Randomnessは一般に平板のビードをデザインするために使用します。初期擾乱が必要な場合は、RINT=1.0を推奨します。体積の変化を生じる摂動(ex. ソリッドモデルのサーフェスに付した摂動)には必要ありません。
Sensitivity Scaling (SCALE):感度スケーリング
Sensitivity Scaling (SCALE)は、オプティマイザーが見る形状変化に対する応答感度を増加(SCALE>1.0)あるいは減少(SCALE<1.0)させるために使用します。Design Variable BoundsはSCALE値の逆数でスケールされるので、グリッド摂動が取れる最大値は変わりません。
設計目的の定義
設計目的の定義(DOBJ or DINDEX/DINDEX2)方法は、トポロジー最適化に同じです。詳細は、設計目的の定義を参照ください。
設計制約の定義
設計制約の定義(DCONS 、DCONS2)方法は、トポロジー最適化に同じです。詳細は、設計制約の定義を参照ください。
フリーフォーム製造制約
Fabrication Constraints (SYM)は、製造要件を強制するために使用します。利用できる製造制約は、次の通りです。
Mirror Symmetry:鏡面対称
Cyclic Symmetry:回転対称
Extrusion:押出し
Uniform:同形
Shape Morphing Setsには製造制約を3つまで課すことができます(製造制約の結合)。各製造制約の詳細を、次節で説明します。
また、ユーザーは、移動を与えるグリッドの割合をコントロールするのにGrid Fraction Control (GRIDFR):グリッド分率を指定できます。またグルーピング単位の形状最適化を行わせるためにCoarse Method:コース法も指定できます。
Mirror Symmetry:鏡面対称
Mirror Symmetry製造制約は、Shape Morphing Setsに鏡面対称要件を強制します。参照座標系の指定が必要です。Mirror Symmetryのオプションは次の3種です。
・MXY:XY面対称
・MYZ:YZ面対称
・MZX:ZX面対称
Cyclic Symmetry:回転対称
Cyclic Symmetry製造制約は、Shape Morphing Sets内に回転対称要件を強制します。参照座標系の指定が必要です。
Cyclic Symmetryのオプションは次の3種です。
・CX:X軸中心
・CY:Y軸中心
・CZ:Z軸中心
回転対称数(n)の指定が必要です。
Extrusion:押出し
Extrusion製造制約は、Shape Morphing Sets内に押出しの要件を強制します。参照座標系と押出方向の指定が必要です。
Extrusionのオプションは次の3種です。
・EX:X軸沿い
・EY:Y軸沿い
・EZ:Z軸沿い
Uniform:同形
Uniform製造制約は、指定面と平行な面内で同形または面法線方向に全移動の要件を強制します。
Uniformのオプションは次の通りです。
・UXY:XY平面に平行な面内で同形
・UYZ:YZ平面に平行な面内で同形
・UZX:ZX平面に平行な面内で同形
・UXYZ:全方向で同形
UXYZオプションは最適化領域の節点すべてを1つの設計変数でコントロールします。そのため領域内の全節点が面法線方向に同じ量移動します。
Figure 6-5 参照面に平行な面で同形
製造制約の結合
1つのShape Morphing Setに複数の製造制約が同時に必要な場合があります。その場合は製造制約を1領域あたり3種まで使用できます。ただし、その全てが結合できるわけではありません。以下に許容される結合を記します。
1.2つまたは3つの鏡面対称制約
2.1つの回転対称または軸対称制約は、回転対称の軸が鏡面対称の面に直交する限り1つの鏡面対称と結合できる
3.1つの押出制約は、押出方向が鏡面対称の面に平行である限り1つまたは2つの鏡面対称と結合できる
4.1つの押出制約は、押出方向と回転軸または軸対称の軸が同じである限り1つの回転対称または軸対称製造制約と結合できる
上記の可能な結合を記号標記すると、次のようになります。
i, j, kをX, Y, Zの巡回置換とすれば、
1.Mij and/or Mjk and/or Mki
2.Ci and/or Mjk
3.Ei and/or Mij and/or Mki
4.Ei and/or Ci
5.Ujk and/or Mjk
ユーザーは可能な結合すべてを記憶する必要はありません。GUIから選択する製造制約の3リストの場合、プログラムが、選択に基づき互換性のない製造制約を自動的に除外します。
すべてのフリーフォーム製造制約
タイプ | 製造制約要件 |
---|---|
MXY | XY面に関する鏡面対称 |
MYZ | YZ面に関する鏡面対称 |
MZX | ZX面に関する鏡面対称 |
CX | X軸中心の回転対称(n>0)またはX軸中心の軸対称(n>0) |
CY | Y軸中心の回転対称(n>0)またはY軸中心の軸対称(n>0) |
CZ | Z軸中心の回転対称(n>0)またはZ軸中心の軸対称(n>0) |
EX | X軸沿いの押出し |
EY | Y軸沿いの押出し |
EZ | Z軸沿いの押出し |
UXY | XY面に平行な面内で同一 |
UYZ | YZ面に平行な面内で同一 |
UZX | ZX面に平行な面内で同一 |
UXYZ | 全ての方向に同一 |
Grid Fraction Control (GRIDFR):グリッド分率のコントロール
Grid Fraction (FRACT):グリッド分率
Grid Fractionは、移動を与えるグリッドの割合をコントロールします。
Grid Fractionは、0.0~1.0間の実数です。例えば、値を0.0とすると移動できるグリッドはありません。一方で値を1.0とすると全グリッドが移動できます。
Grid Fraction Bound Type (BTYPE):グリッド分率の境界タイプ
次のオプションがあります。
・Upper:デフォルト
GRID Fraction値を制約上限に使用(最大、Grid Fraction相応の個数のグリッド移動が許容される)
・Lower
GRID Fraction値を制約下限に使用(少なくとも、Grid Fraction相応の個数のグリッド移動が強制される)
・Both
GRID Fraction値を制約上限と制約下限の両方に使用(Grid Fraction相応の個数のグリッド移動が強制される)
Coarse Method:コース法
フリーフォーム最適化は、グリッドをグループ化した形状最適化も可能です。グループは、近接グリッドから生成します。
Coarse Method (CTYPE)のオプションは次の2つです。
None
コース法を使用しない(グリッド単位の形状最適化)
By Diameter
コース法を使用する。直径(DIMEN1)の入力によりグリッドのグループが形成される
Coarse法を使用する利点は、設計変数の数を低減による感度計算と最適化計算の速度の向上です。
Symmetry Tolerance (SYMTOL):対称トレランス
Symmetry Toleranceは、対称グリッドを検知するためのトレランスを規定します。
デフォルト値は、絶対値の0.001です。このパラメータの使用に当たっては要素寸法を考慮してください。
フリーフォームで利用できる解析応答
フリーフォームで利用できる応答(DRESP1, DRESP2 and DRESP3)は、トポロジーで利用できる解析応答およびトポグラフィーで利用できる応答を参照ください。
フリーフォーム最適の生成ファイル
GENESIS 解析・設計ファイル一覧
ファイル内容 | ファイルの発生 | ファイル名 |
---|---|---|
入力データ | 常に自動生成 | genesis.dat |
出力データ | 常に自動生成 | genesis.out |
計算ログ | 常に自動生成 | genesis.log |
解析ポスト ファイル | ユーザー要求 | genesisxx.ext |
最適化履歴 ファイル | 自動生成 | genesis.HIS |
リスタート情報 ファイル | 自動生成 | genesis.RST |
最適化経過グラフファイル | 自動生成 | genesis.html |
形状変化 ファイル | 自動生成 | genesis.SHP |
ext=op2またはpch
GSAMで作成される入力データファイル名のデフォルトは genesis.dat です。
プログラム出力ファイル、ポストファイル、ヒストリーファイルについては、プログラム出力 (pname.out) 、解析ポストファイル(pname.pch or pname.op2) 、および設計ヒストリーファイル(pname.HIS) の説明を参照ください。
また形状変化ファイルについては、形状変化ファイル(pname.SHP)の説明を参照ください。
形状変化結果のポスト処理
形状変化結果のポスト処理を参照ください。
フリーフォーム最適 形状変化結果
メッシュゆがみの回避
メッシュゆがみの回避を参照ください。