GSAM/GTAMとは
GSAM (ジーサム)およびGTAM(ジータム)は、構造最適化ツールGENESISをAnsys環境で利用することを可能にするAnsysエクステンションです。
GSAMは、GENESIS® Structural Optimization for ANSYS® Mechanicalの略称です。
GTAMは、GENESIS® Topology Optimization for ANSYS® Mechanicalの略称です。
GSAMは、次の最適化機能を提供します。
・トポロジー最適化
・トポグラフィー最適化
・フリーフォーム最適化
・寸法最適化
・トポメトリ最適化
ただしGTAMエクステンションは、トポロジー最適化機能に限定されます。
GENESISとは
GENESISは、FEM解析機能と設計機能が完全統合されたエンジニアリングソフトウェアです。 FEM解析機能には、静的構造解析、モーダル解析、周波数応答解析(直接法とモード重ね合わせ法)、ランダム応答解析、熱伝導解析・座屈解析が装備されています。
設計機能には、精度を落とすことなく効率的に最適解を得るための近似解法が採用されています。FEM解析と感度情報から生成される応答近似式を用い、DOTまたはBIGDOTオプティマイザーが最適化を行います。近似最適値が得られたら、その値で再構築されたFEM解析を用いて新たな近似最適を実行するというプロセスが最適解に到達したと判断するまで繰り返えされます。このようにGENESISは、FEM解析法、近似最適化法、構造最適化法(トポロジー最適他)が統合された構造最適設計を実現するためのソフトウェアです。
GENESIS for Ansys Mechanicalとは
GENESIS Structural Optimization for ANSYS Mechanical (GSAM)は、ANSYS Customization Toolkitで開発されていますので、ANSYSの操作感はそのままに、GENESIS構造最適化計算条件の設定、計算の実行、計算結果のポスト処理及び最適化された形状等のデータ出力をANSYS環境内で可能にします。 ANSYS環境でGENESIS構造最適化を実施するための基本的な手順は次の通りです。
1.Ansys Workbenchを起動し、GENESISシステムをワークフローの既存の解析システムにリンクします
2.Ansys Mechanicalを起動し、GENESIS Structural Optimizationツールバーを使用し、次の最適化条件を定義します
・設計領域の定義
・目的関数の定義
・制約条件の定義
3.GENESIS最適化計算をランします(GENESISの計算がバックグラウンドで実行されます)
4.GENESIS最適化解析計算が終了したら結果の確認を行います。次のような解析結果をポスト処理できます
・トポロジー要素密度
・トポロジー密度等値面
・形状変化
・要素寸法
・変形、応力、ひずみ、ひずみエネルギー
5.最適化形状をSTLフォーマットでエクスポートし、CADにフィードバックします
トポロジー最適化
トポロジー最適化を使用することで構造の全体剛性や固有振動に影響しない領域が分かります。例えばトポロジー最適化は、製品パフォーマンスを低下させないで質量を最小化するには製品構造のどの部分を削減するとよいかをユーザーに示してくれます。 設計したいパートやボディを選択すると、そこに含まれる要素の剛性と密度を制御するための設計変数が自動生成されます。
等方性材料、直交異方性材料、異方性材料の全てがトポロジー最適化でもサポートされています。利用できる応答は、静的変位、ひずみエネルギー、固有モード、座屈荷重係数、直接法およびモーダル周波数応答の変位・速度・加速度、ランダム応答解析の変位の二乗平均、慣性モーメント、マスフラクションです。トポロジー最適化では、対称性を始め各種の製造制約条件、チェッカーボードを抑止する機能があります。モード追跡は固有振動モードと座屈モードの両方で利用できます。 ポスト処理ではトポロジー結果の要素密度が示す等値面を表示することで最適形状を可視化できます。
トポグラフィー/フリーフォーム/寸法/トポメトリ最適化
GENESISは、最適設計の探索において部材断面寸法と形状の両方を変更できます。設計変数として、部材断面寸法、節点位置またはその両方をとることができます。それらは、線形または非線形式でリンク付けすることもできます。対称性や製造要件は、寸法変数や形状変数をリンク付けすることで与えることができます。プログラム内部ではBasis Vectors法が、形状の滑らかな変化を得るために使用されています。
FEMで計算され得る様々な応答、例えば、質量、応力、変位、温度、振動は、最小化あるいは最大化するための設計目的として利用できます。他方、それら応答を制約条件に用いることもできます。
GTAMまたはGSAMインストールの概要
ANSYS環境でGENESIS最適化を使用するには、GSAM(またはGTAM)エクステンションとGENESISをインストールしておく必要があります。
エクステンションのインストール
ANSYSワークベンチを起動し、メニューから[エクステンション]>[エクステンションをインストール]を選択します。ファイル選択ダイアログが開いたら、エクステンションファイル(*.wbex)のあるフォルダをブラウズし、エクステンションファイルを選択します。 エクステンションファイルのネーミング規則は次の通りです。 GSAMの場合: GSAM_v{GenesisVer}_A{AnsysVer}_BuildDate.wbex GTAMの場合: GTAM_v{GenesisVer}_A{AnsysVer}_BuildDate.wbex ここで {GenesisVer} はGENESISのバージョン番号。{AnsysVer}はANSYS のバージョン番号。BuildDate は、エクステンションのビルド日です。 エクステンションのインストールに、管理者権限は必要ありません。 エクステンションは、ANSYSバージョンに応じ次のディレクトリにインストールされます。 ANSYSR19以前は、 %appdata%\Ansys\v{AnsysVer}\AdvancedAddinPackage\extensions\GSAM_v{GenesisVer}_A{AnsysVer}_BuildDate ANSYS20219以降は、 %appdata%\Ansys\v{AnsysVer}\ACT\extensions\GSAM_v{GenesisVer}_A{AnsysVer}_BuildDate ※GTAMの場合、上記ディレクトリパスの「GSAM」は「GTAM」になります。
エクステンションの有効化
エクステンションを使用する前に、エクステンションを有効化する必要があります。ANSYSワークベンチでメインメニューから[エクステンション]>[エクステンションを管理]を選択します。エクステンションが一覧化されたダイアログが表示されます。GenesisSolverのチェックボックスにチェックを入れることで、有効化できます。 さらに、GenesisSolverを右クリックし「デフォルトとして読み込み」を選択しても構いません。そうすることで新プロジェク作成の度にエクステンションを有効化する必要がなくなります。 Ansys Mechanicalを起動する前にエクステンションを有効化しておいてください。有効化されていないと、解析実行時にInvalid Solver Typeエラーが生じます
GSAM/GTAM マニュアルと例題
GSAM/GTAMをインストールすると、ユーザーマニュアル、例題マニュアル、例題の入力データ・ファイルも導入されます。 ユーザーマニュアルと例題マニュアルは、エクステンションのインストール・フォルダ下のHelpフォルダに導入されます。 ANSYSR19以前は、 %appdata%\Ansys\{ver}\AdvancedAddinPackage\extensions\GSAM_v{GenesisVer}_A{AnsysVer}_BuildDate\Help ANSYS20219以降は、 %appdata%\Ansys\{ver}\ACT\extensions\GSAM_v{GenesisVer}_A{AnsysVer}_BuildDate\Help です。 GSAMの例題の入力データファイルは、エクステンションのインストール・フォルダ下のExamplesフォルダに導入されます。 ANSYSR19以前は、 %appdata%\Ansys\{ver}\AdvancedAddinPackage\extensions\GSAM_v{GenesisVer}_A{AnsysVer}_BuildDate\Examples ANSYS20219以降は、 %appdata%\Ansys\{ver}\ACT\extensions\GSAM_v{GenesisVer}_A{AnsysVer}_BuildDate\Examples です。 ここで {GenesisVer} はGENESISのバージョン番号です。{AnsysVer}はANSYS のバージョン番号です。BuildDateはエクステンションのビルド日です。 ※GTAMの場合、上記ディレクトリパスの「GSAM」は「GTAM」になります。