GSAM2024リリースノート

GSAM2024新機能および強化機能

1. 動解析機能強化

予荷重(初期応力)を導入できるようになりました。これは、モーダル解析、周波数応答解析(モード法・直接法)、座屈解析のロードケースに対し有効です。

下図は初期応力モーダル解析の例です。解析モデルは、両端が固定された矩形断面の棒材のモーダル解析モデル。予荷重として熱応力解析をリンク。初期応力の状態(引張または圧縮)で、固有周波数結果が変化することが分かります。

初期状態が引張応力状態の場合の最低次の固有振動数

初期状態が圧縮応力状態の場合の最低次の固有振動数

 

動解析における接触の取り扱いも強化されました。現バージョンでは、非線形接触定義のままに、モーダル解析、周波数応答解析(モード法・直接法)、座屈解析が実行されます。

2円筒モデルの1次固有周波数:ボンドの場合(従来)

2円筒モデルの1次固有周波数:接触の場合

 

2. 圧電解析新機能

電圧を与えた圧電素子の変形(逆圧電効果)をシミュレーションできるようになりました。ACTエクステンションPiezoAndMEMSのPiezoElectric Bodyで定義された圧電素子の変形を、GSAM/GTAMの構造最適化問題に取り込めます。PiezoAndMEMSは、別途インストール設定する必要があります。

使用できるロードケースは、静的構造、モーダル、線形座屈、周波数応答(モード重ね合わせ法/直接法)、ランダム応答です。

圧電ファン

ブレード先端の変位応答:起電圧115Vの場合

変形

最大主応力

 

3. フリーフォーム形状最適機能強化

Shape Morphing Setsデータに関するエンハンスメントです。

Perturbation-TypeパラメータにFreeMorphingオプションが追加されました。

FreeMorphingの場合、設計ボディ内のすべての節点に摂動ベクトルが与えられます。そのため表面節点の摂動ベクトルに限られる従来法のRaw Morphing Setオプションに比べ、より大きな形状変化結果を得ることができるようになりました。
またPerturbation-Region to Extrudeデータを用いることで、設計除外面を指定することができます(次図の緑面)。

 

 

4. トポロジー製造制約条件の強化

二種のトポロジー製造制約条件が追加されました。Linear Projection Pattern (LPX/LPY/LPZ)とDihedral (DX/DY/DZ)です。

Linear Projection Pattern製造制約は、Extrusion(EX/EY/EZ)製造制約と同等な結果をもたらします。Extrusion との違いは、FillingやStamping製造制約の副次制約として使用できることです。

片持ち梁の先端に集中荷重を与えた解析モデルでLinear Projection Pattern製造制約の働きを示します。
はじめに、「FGZ:Z方向で鋳抜き可能」製造制約条件を与えたときのトポロジー形状は次のようになります。

さらに第二製造制約として「LPY:Y方向に等断面」製造制約条件を付加することで、次のようなステップ化された形状を得ることができます。

Dihedral (DX、DY、DZ) は周期対称制約のCyclic(CX/CY/CZ)に似ていますが、下図のように周期パターンの各セクターが鏡面対称になるよう強制されます。

 

5. トポロジー部材寸法規定パラメータの強化

Topology RegionsデータのSize Value TypeパラメータにScale of Average Element Sizeオプションが追加されました。

現バージョンでは、設計領域の要素サイズの平均値がプログラム内部で算定されます。そこでScale of Average Element Sizeを選択すると、Minimum/Maximum Member Sizeの入力値は、平均要素サイズに対する倍率として使用されます。例えば下図のように指定すると、平均要素寸法の2倍の値がMinimum Member Size値として内部認識され、トポロジー最適の演算に用いられます。

6. ハーモニック解析応答の強化

ハーモニック解析においては、ソリッド要素またはシェル要素のミーゼス応力および主応力・主ひずみをリカバリーできるようになりました。リカバリー計算にはCharron法が用いられています。これらの応力、ひずみ応答は最適化に使用できます。

 

7. 内蔵関数オプション強化

幾何平均(Geometric Mean)を計算する関数GMEANオプションが追加されました。User functionおよびBuilt in Functionの中で使用できます。

幾何平均は、n 個の数値の積のn 乗根として定義される関数で、算術平均と比較すると、数値系列内の大きな外れ値の影響が軽減されるという特徴を有する関数です。

 

8. スーパーエレメント解析機能強化

圧縮ジオメトリ(スーパーエレメント)をサポートしました。

圧縮パーツのANSYS .subファイルはAPDLコマンドでGENESIS用のDMIGファイルへ変換できます。

GENESISは、SE Setupコマンドでスーパーエレメント領域を認識します。

 

9. ESL最適化機能強化

ESL最適化における要素剛性を指定のステップで更新するアルゴリズム「Incremental ESL」が実装されました。最適化の進行で非線形性が強くなる設計問題には、従来法のESLよりもIncremental ESLの使用が適します。

Incremental ESLの実装に伴いBase Timeフィールドが追加されました。

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10. ESLDYNA最適化新機能

Workbench MechanicalのLS-DYNAシステムをサポートしました。トポロジー最適化などGENESISに搭載のすべての最適化手法をLS-DYNA非線形構造解析に適用できます。

 

 

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